休校でも…本の世界楽しんで 電子書籍500冊を無料配信

電子書籍約500冊を無料配信している「銀の鈴社」の西野社長=鎌倉市佐助

 新型コロナウイルスの感染が拡大し全国で学校休校などの動きが広がる中、本の世界を楽しみ鬱屈(うっくつ)とした状態の改善に役立ててもらおうと、鎌倉市の出版社「銀の鈴社」が電子書籍約500冊を無料配信している。西野真由美社長(59)は「ほっこりしたり、はっとしたり、支えになる大切な言葉と出合うきっかけにしてもらえたら」と願っている。

 無料配信しているのは通常は主に400~500円で配信している詩集やノンフィクション、童話、小説など。谷川俊太郎や井上靖らの名作をはじめ、映画「南極物語」のベースとなった「タロ・ジロは生きていた」、近代絵本のルーツとされる「ぼうぼうあたま」、葬儀屋で働く主人公を取り巻く人間ドラマ「ゆずりは」といった幅広い作品に触れられる。

 全国の小中学校や高校の一斉休校に加え、地域の図書館も臨時休館になり、西野社長は、人とのコミュニケーションまでもが制限される鬱屈とした雰囲気を感じたという。スマートフォンなどで読める電子書籍であれば、感染を心配することなく喜んでもらえると思い、著者らの協力を得て無料配信をスタートさせた。

 子どもに限らず、大人、外国で暮らす日本人、日本語を学ぶ外国人ら多くの人に活用してもらいたいという西野社長は「この時期を楽しむのは難しいが、心だけでも広い世界に羽ばたき、豊かな言葉に出合ってほしい」と話している。

 電子書籍サイト「コンテン堂」モール内の「銀の鈴社 電子ブックストア」で。無料配信は4月10日午後11時59分までで31日間、閲覧できる。

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