学校再開で「ほっとした」 長崎県、新年度からの方針決定

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 長崎県は20日、文部科学省の正式決定を待たずに、県立学校を新年度から再開する方針を決めた。県内の各市町教委も、順次再開の可否を判断する見通し。「ほっとした」「早く友達と遊びたい」。再開を待ちわびた子どもや保護者、学校関係者からは歓迎の声が聞かれた。
 「休校中はたまに外で一人で縄跳びをするぐらいしかできなかった。早く登校して友達と遊びたい」。島原市立第一小4年の松本朋晃君(10)は声を弾ませた。佐世保市立皆瀬小5年、山村勇斗君(11)も「宿題は出たけど先生に聞けずに不安だった。うれしい」と笑顔で話す。
 県内で一斉休校が始まってまもなく20日。学校関係者らの間で、子どものストレスや学力低下への不安は日増しに高まっていた。
 県南地区の小学校の男性教諭(54)は「子どもたちは暇を持て余しストレスをためていた。(感染は)心配だが、そう言っていたら何もできない」。佐世保市の小学校の男性教諭(43)は「休校中に学ぶはずだった内容を新学期にきちんと教えなければならない。休校前の学習がどれだけ身に付いているかも見極めたい」と語る。
 県内の感染者は現時点で1人。中村法道知事は20日、県内の現状について「感染が確認されていない地域」に限りなく近い状況との認識を示した。
 4月に小学6年になる娘を持つ西彼時津町のシングルマザーの女性(34)は「子どもは昼に起きてタブレット端末を触るだけの毎日で生活習慣がおかしくなっていた。収入が落ちて家計も不安だった」と胸をなで下ろす。小学3年の娘がいる長崎市の会社員男性(34)は「学校でマスクを確保してほしい」と注文を付けた。
 学校が休校になっても政府に「開所」を求められ、子どもたちを引き受けてきた放課後児童クラブ(学童)。諫早市内の学童に勤務する女性児童支援員(44)は「換気や検温などいつも以上に気を使っていた。疲れが出てきたころだった」と安堵(あんど)した様子。
 感染対策を徹底した上での部活動再開も決定。県ラグビー協会の松本浩理事長は「子どもたちが活動できるようになってありがたい。しっかりと体調管理をしてほしい」と歓迎。県立国見高サッカー部の木藤健太監督は「感染者が出て再び禁止にならないかという不安もあるが、安全安心に最大限気を付けたい」と表情を引き締める。
 長崎市教委も20日、緊急で対応を協議。23日に学校を再開するかどうかを決める予定。市教委幹部は「感染予防策を講じながら、日常に戻していくことが大切だ」と述べた。

 


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