長崎の高校生アスリート 休校中の過ごし方 寮生全員帰省 調べ学習 体重変動報告

部活動が中止の間、がらんとしていたグラウンド=長崎市営陸上競技場

 新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、長崎県内のほとんどの小中高校や特別支援学校が臨時休校となって約3週間。部活動も多くの学校で禁止されてきた。この「普段の練習ができない日々」を、高校生アスリートはどう過ごしてきたか。休校中の状況をリポートする。

■民間の受け皿
 陸上界にとってはトラックシーズンが始まる大事な時期。公立校の指導者たちは「各自で自主練習させるしかなかった」と口をそろえた。大会もすべて中止となり、モチベーションの維持、コンディショニングともに難しい3週間だった。
 水泳は営業中のスイミングスクールに個別で通う選手もいた。東京五輪の日本代表選考となる日本選手権(4月2~7日・東京)も控える。県水泳連盟の北村貴志競泳委員長は「民間で子どもの受け皿をつくりたかった。保護者の了承を得た上でロッカーや送迎バスなどの消毒を徹底した」と条件付きで活動した。

■工夫凝らして
 一方、個人競技と比較して、全体の連係面などに時間が必要な団体競技はどうか。今春の全国選抜大会で上位進出が有望視されていたチームの取り組みは-。
 ソフトボール男子の大村工は「自立のきっかけにしよう」と全員で調べ学習に取り組んできた。主将が「きょうのテーマ」を決めて、それぞれが自らの調査結果、考えをメールなどで報告。内容はソフトボールの技術面、体づくり、栄養、精神面など多岐にわたる。
 山口義男監督は「プレーはできないが、考えて伝える力を養う期間にした。時間に追われて、普段は考えることが難しい目的、意義について、理解を深めてもらいたかった」と工夫を凝らした。
 ラグビーの長崎北陽台は選手個人の自主性に任せてきた。品川英貴監督が要求したのは、前日の自主トレーニングや勉強時間、体重の変動などを毎朝7時に連絡すること。トレーニング内容については「具体的な指示は出していない」。
 ハンドボール男子の瓊浦は3月初旬から、寮生全員が帰省。末岡政広監督は「試合映像を見るなど、ハンドボールについて考える時間を持つように」とだけ伝えた。日々の報告は求めずに「この時期にきちんとできるかで、夏に勝つために他チームと差がつく」と一人一人の自覚と責任に委ねてきた。
 サッカー女子の鎮西学院も休校に伴い、寮生が実家に帰省。川原武監督は「プレー映像を見ての座学、1人でできるトレーニング、体の状態の維持に気をつけるように」指示を出した。臨時登校となった18日からは2時間の部活動も再開。それまでできなかったコンビネーションの練習に時間を割いている。

■周りへの感謝
 休校期間中、全国的に私立校などの中には、練習を続けていたチームもあった。だが、各競技の全国選抜大会をはじめ、すべての大会などが中止となった影響もあり、ほとんどの高校生アスリートは例年とは違う3月を過ごした。
 県体育保健課の小柳勝彦体育指導監は「この期間にスポーツができる喜びや周りへの感謝の気持ちも、あらためて強くなったと思う。選手が自主的に考えて取り組んできたことは必ず生きてくる。インターハイや国体につなげていってほしい」と選手たちのこれからに期待を込めた。


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