香港民主化デモの5年間の歩みを伝える写真展が、横浜市中区の「AAAギャラリー」で開かれている。現地で撮影を続ける同市南区に住むカメラマンの中村康伸さん(50)が「自由と民主主義を守るため、諦めない人々を知ってほしい」と来場を呼びかけている。
中村さんが初めて現地入りしたのは普通選挙を求めた2014年の「雨傘運動」。デモ隊の熱量に圧倒され、香港人の虜(とりこ)になった。以来、今月も含め計11回、現地を訪れている。
昨年6月、中国本土に容疑者引き渡しを可能とする「逃亡犯条例」改正案に反対するデモが大規模化。最大で200万人が集まり、街を覆った。警察は催涙弾を乱射するなど凶暴化し、中村さん自身もガスマスク越しに催涙ガスを何度も浴び、「目は痛み、涙がボロボロこぼれた」。
当局は監視カメラと人工知能(AI)を駆使し、デモ隊の身元特定を進めた。逮捕され中国本土に送られ、不審死する恐れもある。デモ隊は写真を撮られること自体も避けるようになっていた。それでも人々は抗議をやめることなく、その姿を伝えようと中村さんも撮影を続けた。10月には条例改正案が撤回され、11月の区議会(地方議会)選挙で民主派が圧勝した。
写真展では衝突の様子などをとらえた120点を展示。中村さんは「小規模になったが、今もデモは続いている。新型コロナウイルスが収束したら、また現地に行きたい」と話している。
27日まで。入場無料。午後2~7時。月、火曜日は休館。問い合わせは、同ギャラリー電話045(664)3907。