千賀絶賛、大物食い、憧れの神宮、類稀な俊足、筋骨隆々。期待のブレイク候補5傑!

プロ野球界では毎年、新たなスター選手が誕生する。昨シーズンはヤクルトの村上宗隆が高卒2年目で36本塁打・96打点をマークし、阪神・近本光司とのハイレベルな新人王争いを制したことは記憶に新しい。その他に、山本由伸(オリックス)、西川龍馬(広島)、高橋礼(ソフトバンク)、柳裕也(中日)らもチームの主軸へと成長した。今季もきっと、思いも寄らぬブレイクを選手が現れるに違いない。
そこで今回、期待のブレイク候補の5選手をピックアップした。開幕まで待ち切れない今、ぜひ注目して見てみてほしい。

(文=花田雪、写真=Getty Images)

注目すべきは、佐々木朗希、奥川恭伸だけじゃない!

新型コロナウイルスの影響で延期となったプロ野球の開幕。4月10日の目標設定については一部で黄信号が灯っているとも噂されているが、現状を憂いているばかりでは何も進まない。

東京五輪の開催も含め、本来はスポーツイヤーとなるはずだった2020年。先行きが不透明な今だからこそ、プロ野球にも前向きで明るい話題が必要なはずだ。
そこで、本稿では2020年、ブレイクが期待される期待の若手選手をピックアップ。いつ来るかわからない開幕に向けて今季の要注目選手をぜひチェックしてほしい。

ソフトバンクの逸材、ポテンシャルには以前から高い評価も

オフからキャンプにかけて、方々で名前を聞いた選手が、福岡ソフトバンクホークスの杉山一樹だ。今季でプロ2年目。2018年ドラフト2位入団の右腕は1年目の昨季、1軍ではわずか2試合の登板、防御率9.00に終わっている。

ただ、秋季キャンプ、そして自主トレ、春季キャンプでその評判はうなぎ上り。

オフに自主トレを共にしたチームメイトの千賀滉大は躊躇なく「本当にすごいっす。僕も超されたと思う」と、その能力に太鼓判を押した。

2月に宮崎までキャンプ取材に行った際には、他球団のスタッフから「ソフトバンクの杉山君がいいって聞いたんですけど、どうでした?」と聞かれたこともあった。

チーム内外から注目されていることからもわかるように、ポテンシャルは以前から評価されていた。身長193cm、体重95kgの日本人離れした体格を誇り、最速150kmを超える速球を持つ。あとはその才能を操れるだけの技術と、チャンスをつかむキッカケさえあればいつ飛躍してもおかしくない。

オフの自主トレがそのキッカケとなったかはわからないが、キャンプでの実戦でも結果を残し、その期待は日増しに高まっていた。

しかし、そんな矢先、胃腸炎と診断され、20日の練習を欠席。体重も大幅に減らしてしまい、ブレイクロードにストップがかかってしまった。

それでも、練習合流後は再びアピールの日々を続けている。チームは今春もけが人が続出し、開幕ローテは不透明な状況。今後の練習試合での結果次第や開幕時期がいつになるかにもよるが、一気にスターダムに上り詰める可能性は十分ある。

清宮キラーの強心臓と、幼少期からのヤクルトファン

セ・リーグでは若き左腕、櫻井周斗(DeNA)と長谷川宙輝(ヤクルト)の2人にも注目だ。

櫻井は日大三時代、同地区の清宮幸太郎(当時・早稲田実、現・日本ハム)キラーとして知られ、2年秋の秋季東京都大会では5打席連続三振を奪っている。

プロ2年目の昨季は1軍初登板を経験。最初の打者がいきなり山川穂高(西武)だったが、臆することなく攻め込み、最後は147kmのカットボールで三振を奪った。高校時代からの強心臓と“大物食い”は健在で、3年目にして1軍定着、先発ローテ入りも十分ある。

ヤクルトの長谷川は今季、育成選手として所属していたソフトバンクを退団してヤクルトに入団。悲願の支配下登録をつかみ取った。

高校時代は甲子園とは縁がなく全国的には無名の存在。しかし、プロ入り後に飛躍的に球速がアップし、その成長ぶりは一部で大きな話題になっていた。あとはいつ、支配下登録されるかという段階だったが、ここにきてのヤクルト入団。幼少期からファンクラブに入っていたというほどのヤクルトファンでもあり、憧れの神宮で飛躍を誓う。

オリックスの類いまれなスピードスター

打者で注目したいのがオリックス・バファローズの宗佑磨。今季でプロ6年目、抜群の身体能力を誇る万能プレーヤーだ。ここ2年は1軍でも出場機会を得ているが、本来持つ能力を考えればシーズンフルでレギュラーになってもらわなければいけない選手だ。

筆者は高校時代の彼のプレーを見ているが、野球選手としてはもちろん、アスリートとしてほれぼれするような躍動感あふれるプレーが印象強い。

1軍の水にも慣れてきただけに、そろそろ本格的なブレイクを期待したいところだ。欲をいえば、高校時代のポジションである遊撃手としてのプレーをもっと見たいところだが、2019年に外野手登録へと変更。類いまれなスピードを生かし、ぜひリードオフマンに定着してほしい。

「ヤクルトのきんに君」はチーム事情も後押し

「ヤクルトのきんに君」の異名を持つ中山翔太も飛躍が期待される選手の一人。その異名通り、趣味はウエイトトレーニングで筋骨隆々の体格から長打を量産する典型的なスラッガータイプだ。プロ1年目の昨季は1軍で5本塁打と才能の片りんを見せた。

能力の高さはもちろん、チーム事情もブレイクを後押しするだろう。今季のヤクルトはバレンティンがソフトバンクへと移籍。空いた左翼のポジションに収まりそうなのが、この中山だ。今季のヤクルト打線は山田哲人にマークが集中することが予想されるが、中山が覚醒し、村上宗隆が昨季同様、順調に成長すれば打線の破壊力はキープできる。

最下位からの脱却を目指すチームにおいて、ブレイク候補であると同時に打線のキーマンにもなりそうだ。

ここで挙げた5選手以外にも、まだまだ今季の飛躍が期待される若い選手は大勢いる。

開幕が延期になった今、彼らのようなブレイク候補を今のうちにチェックしておくのも、プロ野球の楽しみ方の一つだろう。

<了>

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