「出会いの場」は日本より多い、在タイ邦人の恋愛模様

タイに住んでいる日本人は、誰とつきあっているのか。どこで出会うのか。人それぞれではありますが、タイにいたほうが日本よりもはるかに、人と出会う機会が多いことは確かなようです。恋愛もタイ生活の楽しさを彩るものですが、先々を考えるとやはり、シビアさも求められてきます。


人同士でつながろうという意識が日本より強い

タイでも日本でも、生活に潤いを与えてくれるのはパートナーの存在ではないでしょうか。とりわけ異国暮らしとなれば、心細いこともたくさんあります。なんでも話せて、お互い理解しあえ、大切にしようと思える相手がいれば、きっと毎日はより充実するでしょう。

タイの場合、日本よりもずっと「出会いの場」がある印象です。職場でも、歓迎会とか誕生会とか、コミュニケーションを取れるような機会がけっこうあって、アットホームな会社が多いように思います。

また、会社は違っても現地採用の日本人同士はつながりが強いので、飲み会はひんぱん。みんな自分の知り合いをどんどん連れてくるのが普通なので、人間関係はしぜんと広がっていきます。そうした場では、日本人、タイ人、それに現地在住の欧米人や韓国人なども同席することがあるでしょう。なかなかインターナショナルなんです。

そんな日本人の現地採用がタイ人と付き合う場合、やはり多いのは「仕事関係」のお相手。同じ会社、取引先などで、日常的に顔を合わせる人と親密になっていくのはどの国にいても同じなのでしょう。ほかにも、タイ語や英語教室、よく通っている店のスタッフ、住んでいるマンションの管理室の人など、身近な生活圏で相手が見つかったという人もいます。

敬虔な仏教国タイでは「お寺デート」はきわめてポピュラー

meet upなど趣味やイベントを共有するアプリ、マッチングアプリなどは、タイでもよく使われています。それとタイ人は、フェイスブックなどのSNSは基本的に実名顔出し、さらに友達の友達だとか、よく知らない相手でもプロフなどを見て興味を持つと友達申請してきます。日本人よりも積極的に、SNSを出会いのツールとして活用しているのです。こちらもどんどん攻めていいでしょう。

やりとりはタイ語がベストではありますが、読み書き(入力)ができなければかんたんな英語でも大丈夫。

タイ人の熱い気持ちについていけるか?

ともかくタイにいれば当たり前ですがタイ人との出会いは豊富なわけですが、実際につきあうとなかなか大変だというのもよく聞く話。とくに語られるのは「タイ人女性の嫉妬深さ」でしょうか。

男同士で飲んでいても20分ごとにLINEが来て、電話がかかってくる。実は女と会っているのではと疑い、不安になって、ばんばん連絡してくる。果ては飲みの現場に乗り込んできてしまう。

「タイ人女子を落とすにはとにかく花を送れ!」と力説する人もいる

退勤時間になると、会社にやってきて受付で待っているようなタイ人女性もいます(これは珍しいものではないのか、まわりのタイ人も自然に受け止めているし、彼女と受付のタイ人スタッフが仲良くなることも)。

こちらも同様の熱意でもって応じないと、浮気を疑われて、まったく身に覚えがないのに修羅場となったりもします。この攻勢に疲れて、破局となるカップルもけっこういます。もちろんこういった女性ばかりではなく、タイ人にもサバサバ系女子はいるし、あくまで単なる傾向なのですが……。

一方でタイ人男子は、この性質が「マメさ」となって表れます。とにかく細かく気を使ってケアしてくれるので、無神経な日本男児ではありえない優しさと心遣いに癒される日本人女子もいますが、「ほっといて」と感じてしまうこともやはり多い。恋人にせよ友人や家族にせよ、タイ人は日本人よりも人間関係が濃密で距離が近い印象です。

それと、これもまた傾向にすぎないのですが、東南アジア全般どこも良く言えばおおらかで、悪く言えばズボラでイイカゲンなところがあります。時間を守らない、約束を忘れるくらいならいいですが、どんどん勝手に人生プランを決めちゃって、相談もなく転職したり唐突にイナカに帰ると言い出したり、振り回されることがあるかもしれません。

このあたりをどれだけ寛大に受け止め、翻弄されつつ楽しむことができるか。日本的に細かなことを気にしてカリカリしてしまうタイプは、タイ人との恋愛は難しいでしょう。

なお、ここまで解説してきたのは「一般的なタイ人」についてです。「夜のお仕事」はまったく別モノであります。日本人のとくに一部男性は、タイで歓楽街にはまりこんでしまうことがありますが、あまりいい結果にはならないでしょう。

日本人同士でつきあうという選択肢

タイでは日本人同士でつきあっている人や夫婦もたくさんいます。現地採用同士でも2馬力なら、かなりいい物件に住めるし、未来を描きやすくもあります。男女とも、「一度はタイ人とつきあってみたけれど、やはり気心がわかるあえるのは日本人」というタイプが多いように思います。

現実的なことを考えれば、当たり前ですが駐在員男子は現地採用女子から人気です。日本ベースの待遇を得ているからです。それにいまでは若い駐在員も目立つようになってきました。

従来は「駐在員=家族で赴任してくるオジサン」ばかりでしたが、中高年一家を海外暮らしさせるほど余裕のある企業は少なくなっています。そこで単身赴任や、30代の若手を駐在員として任命することが増えているのです。そんな駐在員男子×ゲンサイ女子の合コンはひんぱんに開かれています。

どこに行ってもSNS用に写真を撮るのは日本もタイも同じ

近年はしっかり企業まで入って、バンコクを舞台に、日本人同士で多人数の大規模合コンだとか街コンも開催されているなど、タイでも婚活はさかんです。こうした場でも、ゲンサイ男子は残念ながら恋愛弱者かもしれません。

ちなみにいまは、給料の安いゲンサイ女子が、余裕のあるオジサン駐在員や、タイで起業したビジネスマンなどを相手に「パパ活」するのも流行っているのだとか……両者をマッチングするサイトも存在するといいます。なにもかもが、日本の縮図なのです。日本人の間での不倫とか浮気なんて話も日常的に聞きます。

さて日本人同士なら、言葉も文化も同じなので生活はしやすいですが、ずっとタイに住むことを考えたらどうでしょう。現地採用のステップアップとして、自分で会社をつくって独立したり、あるいは自宅を購入することも選択肢に上がってきますが、こうしたときタイ人の信頼できるパートナーがいると圧倒的に有利です。タイ人の名義が必要だからです。そのあたりも頭に入れつつ、つきあうタイ人を決めていく日本人もいます。

このシビアさはタイ人も同様です。のんびりぼんやりした面もあるのですが、「この人とつきあったらどんなメリットがあるのか」と合理的に考え判断する、現実的な人々でもあります。タイでしばらく暮らすと、そんな社会の有り様も見えてきます。

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