鷹の23歳に漂うブレークの気配 2014年ドラ2が急浮上、工藤監督も「使いたい」

ソフトバンク・栗原陵矢【写真:藤浦一都】

2014年のドラフト2位で入団した栗原が猛アピール中

 3年ぶりのリーグ優勝、そして4年連続の日本一を目指す2020年のソフトバンク。新型コロナウイルスの感染拡大により開幕が延期となり、現在は練習試合を戦い、新たな開幕に向けて調整を続けている。

 ここまでのオープン戦、そしてロッテと戦った3試合の練習試合で今季の台頭、覚醒を期待させる若鷹がいる。2014年のドラフト2位。今季で6年目を迎える23歳、栗原陵矢捕手だ。

 キャンプ終盤の練習試合、そしてオープン戦で6試合連続安打を放つなど結果を残していた栗原。一時、調子は下降していたものの、21日の試合で代打で登場すると右中間を破るサヨナラ安打を放った。「6番・捕手」でスタメン出場した22日にはソロ本塁打を含む2安打を放ち、結果を残した。

 かねてそのバッティングは高く評価されてきた栗原。昨季は延長12回でのサヨナラ犠飛など、ここ1番で勝負を決める一打を放つなど、その片鱗を見せていた。それが、今季は更なる成長を感じさせる。守備でも捕手だけでなく、外野手や一塁手もこなし、出場機会を増やすために奮闘している。

捕手のみならず外野や一塁をこなす栗原は出場機会獲得へ意欲「ポジションはどこでもいい」

「ポジションはどこでもいいんです。開幕戦でスタメンで出たいという思いが強いです。ちょっとずつ(1軍でやれる)手応えは出てきている。何とか食らいついていけるイメージは出てきています」

 ソフトバンクの正捕手といえば”甲斐キャノン”こと甲斐拓也がおり、外野手や一塁手にもグラシアルやバレンティン、中村晃、上林誠知、内川聖一などなど、多くのライバルがいる。それでも、ここまでの奮闘ぶりを見ると、開幕スタメンへの期待を抱きたくなるものがある。

 22日の試合後、工藤公康監督は「打つべきボールを打てているのが1番。打席の中でのチョイスができているというのが良いところ。打撃コーチも、守備コーチも高い評価をしてくれている。僕としても調子うんぬんはあるけど、調子が良いならば(スタメンで)使いたいと思う1人」と高い評価を口にし、森浩之ヘッドコーチも「使いたくなるよな。どこで使うか、というところはあるけど、そこまで来てくれている、考えさせてくれるのは嬉しい悲鳴」と語っている。

 首脳陣のコメントからも、出場機会の増加を狙う若鷹の中でも、栗原が高く評価されている選手であることは良く分かる。現在は県立坂井高に統合された福井県の春江工出身の栗原。U-18の日本代表では主将を務めた経歴も持つ。期待されて6年目、いよいよ覚醒の時がやってくるか。2020年の栗原陵矢に注目してもらいたい。(福谷佑介 / Yusuke Fukutani)

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