アルダブラ環礁を民放初撮影!杏が「『世界遺産』が25年間記録し続けてきた映像、それ自体が一つの遺産」と感激

今年4月に放送25年目を迎えるTBS系で放送中の「世界遺産」(日曜午後6:00)。4月5・12日放送の2週にわたり、25年スペシャルとして、民放初撮影となるセーシェル共和国の世界遺産・アルダブラ環礁(1982年世界遺産に登録)を特集する(放送日変更の可能性あり)。

研究者以外は通常立ち入り禁止で、しかもセーシェルの首都があるマヘ島から1000km以上も離れたインド洋の秘境・アルダブラ環礁。巨大なリング状の島で、陸地面積では世界で2番目に大きい環礁だ。絶海の孤島で独自の進化をした生き物も多く、「インド洋のガラパゴス」とも呼ばれている。特筆すべきは、この島固有のアルダブラゾウガメ。体重300kgにもなる世界最大級のゾウガメが、なんと15万頭も生息。その不思議な生態も見どころとなる。

撮影許可取得の難しさと到達難易度の高さから、NHKが92年に取材して以来、日本のテレビ局が撮影することはなく、今回が民放初の撮影となったインド洋の秘境・アルダブラ環礁。一般の住民は暮らしておらず、いるのは研究者30人ほどだけ。首都のあるマヘ島からはチャーター機で2時間かけて近くの島に着陸。そこからさらにボートで2時間かけないとたどり着けない海の秘境だ。島の自然環境を守るために、撮影許可もなかなか出ないこの地。番組では数年がかりで交渉し、ついに撮影することが認められた。島へのチャーター機に乗る前に、植物の種子や昆虫の卵など外来種を持ち込まないよう、人も機材も徹底的に洗浄。さらに、天候の問題もあり、サイクロンが連続して発生したためチャーター機が飛べず、撮影隊は1週間もマヘ島で足止めされてしまう事態になる。

苦労の末に到着したアルダブラ環礁は、隆起したサンゴ礁がリング状に島をつくり、東西の長さは30kmに及ぶ。巨大な環礁のためドローンを駆使して空から撮影し、その形やスケール感を描写。リングの内部は、干潮になると人が歩けるほどの遠浅の海で、白い砂地に奇妙な形の岩が点在する不思議な景観だ。また満潮になると外海からさまざまな海の生き物が入ってきて、浅瀬をマンタやウミガメが泳ぎ回る独特の景色を見ることができる。干満が変化する時の潮の流れはきわめて強く、水中撮影中のスタッフが流されるほど。リングの外と内を海水が波を立てて移動し、それが養分を運び、環礁の豊かな生態系を育んでいる。

アルダブラ環礁には、大きいもので体長1m以上、体重300kgにもなる世界最大のゾウガメ“アルダブラゾウガメ”が、15万頭も生息。日中の気温が40℃にもなるため、ゾウガメたちは小さな洞穴に逃げ込む。ゾウガメは動きがとてもゆっくりなため、通常の撮影ではどれくらいの数が集まっているか分からないという状況に。タイムラプス撮影(低速度撮影)に切り替えたところ、ゾウガメたちが洞窟に殺到する様子を捉えることに成功。何十頭ものゾウガメがすし詰め状態になっているさまは、見たことのない不思議な光景だ。このゾウガメが植物を食べ、その種子をフンと一緒に島中にばらまき、植物を増やす。さらに、ほかの動物たちもそのフンを食べるなど、アルダブラ環礁にはゾウガメを軸とした不思議な生態系も出来上がっている。また、ゾウガメ以外にも、絶滅を免れたインド洋最後の飛べない鳥など、ここだけの生き物も多く見られる。

ナレーションを務めた杏は「全く知らない自然をまた一つ知ることができ、現地に行ってみたいと思いました」と感想を語り、「想像もできない広さのラグーン(サンゴ礁が作る遠浅の海)や、15万頭もいる大きなゾウガメや独特の生態系を見てみたい…実際に行くのは難しいところなのですが、それを2週にわたる放送でたっぷりと見ることができます」とアピール。

そして、「今回は25年も放送を続けてきた『世界遺産』をもってしても、2年がかりの撮影交渉だったということで、あまり見たことのない本当に貴重な映像だと思います。このように番組が25年間記録し続けてきた映像、それ自体が一つの遺産になっていると感じます。その映像をみんなで見て楽しみながら『世界は広いな』『地球を大事にしたいな』と思いをはせていただければいいんじゃないかなと思います」とメッセージを寄せた。

番組を制作する堤慶太プロデューサーは「アルダブラ環礁は数年間、撮影のための準備・交渉を続けていたのですが、なかなか実現に至らず、番組スタッフ内では『最も撮影困難な世界遺産』と呼ばれていました。今回、ようやく“インド洋のガラパゴス”の呼び名にふさわしい、壮大な景観と固有のゾウガメを撮影することができました。放送25年の節目にふさわしい映像ですので、ぜひご覧ください」と呼びかけている。

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