「当たり前を全力で」夏への財産 力磨いた創成館野球部・中

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昨秋、激しいスタメン争いを見せた二塁の選手たち。「正面のボールが一番難しい」と基本を徹底する=諫早市、創成館高野球場

 「当たり前を全力で」。チームがシーズンスローガンに掲げるこの言葉は“守りの創成館”において、バッテリーを支える内、外野手に象徴される。取るべきアウトを確実に取る。これがベンチ入りへの「最低限」の条件になっている。
 「打球に飛びついてファインプレーと言われることがあるが、それで年間、何回チームを救えるかという話。一歩目や捕球への入り方は正しいか。実際、正面のボールが一番難しい」。内野手として社会人でも活躍してきた監督の稙田龍生(56)はこう説明する。
 その上で▽一塁は本来二遊間を守れるハンドリング技術が必要▽二遊間はランナーを見ながらなどの「ながら」感覚が求められる▽三塁は一塁と同様に捕手のサインが見えづらい上にバントへの対応もあり、俊敏性や肩の力がないといけない…と適性を見極めていく。
 昨秋、熾烈(しれつ)な競争を見せたのは二塁。県と九州大会で背番号が変わって計4人が出場した。九州で「4」番をライバルに譲った矢野流々希(2年)は「チームとして仲間の活躍はうれしかったけれど、悔しさも強かった。争いが激しければ気合が入るし、簡単なプレーこそ大事になる」と自らに言い聞かせている。
 一般的に失策の約7割とされる送球も大切だ。内野手がグラブに収めたボールを転送するとき、投げ方の多くはスリークオーターかサイドスローになる。このため、基本のキャッチボールも上投げに限らず工夫を徹底。日々の練習を見ると、物理的に捕れない高いボールが極端に少ない。
 それでも、低いボールなどミスは必ずある。ノックで悪送球した後の態度や、それに対する周囲の声も「一球への責任を持っているかどうか」の重要な判断材料となる。
 外野陣はそれに加えてポジショニングが大事になる。例えば1点リードの八回1死一、二塁で「同点阻止」に縛られず「1点くらい大丈夫」という“ゆとり”を感じさせるシフトで構えられるか。左打者の振りが鈍いのに一貫して右翼寄りに守っていないか…。「二つ、三つ先のプレーを常に考えてほしい。それも当たり前」(稙田)
 「野球は確率のスポーツ」と言われる。その確率をいい方向に動かすためには、バッテリー以外の全員が、投球前の「予測」を充実させられるかどうかにかかっている。「うまく見えるチーム」と「本当にうまいチーム」の違いの一つは、準備にあるということだ。
 そして、そうした頭脳や力、技術で差がつかない場合、最後は気持ちの面が勝負を分けるだろう。生活面などのリーダーとなる“選手会長”を務める外野手の二日一涼介(2年)は「周りの手本になるように、小さなことから率先して動きたい」と気を引き締める。
 昨秋の九州大会で無失策を誇った鉄壁のバック。「当たり前」を貫き続ける心技体は、さらに大きくなっている。