長崎原爆遺跡の山王神社 指定範囲拡大目指す 調査検討委

 有識者でつくる国指定史跡「長崎原爆遺跡」の調査検討委員会(下川達彌会長)の会合が23日、長崎市内であり、長崎原爆遺跡の構成史跡の一つ、山王神社(坂本2丁目)の指定範囲を「二の鳥居」以外の境内にも広げることを確認した。新年度、境内に埋まっている「四の鳥居」の発掘調査に乗り出す方針。
 山王神社は爆心地から約800メートルに位置。参道には四つの鳥居があったが、一本足鳥居として知られる「二の鳥居」以外は被爆して倒壊したとされる。しかし、2019年には境内から倒壊した「三の鳥居」の部材が見つかっており、市は境内に「貴重な被爆遺構が残存している」として、範囲拡大を目指している。
 会合ではこのほか、市が同神社の三の鳥居の部材付近に説明板の設置を検討することや「立山防空壕(ごう)」(立山1丁目)の原爆遺跡追加指定に向けた調査を実施することなどを確認した。
 長崎原爆遺跡は「山王神社二の鳥居」を含む五つの史跡で構成。2016年10月に国指定を受けた。

© 株式会社長崎新聞社