選挙のことがわからなすぎる(小池みきの下から選挙入門④)

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本記事は2015/8/11の記事となります

さて、「選挙について何か書け」と命じられ、とりあえず縁もゆかりもない埼玉県知事選挙の候補者演説を聞いてみたわけだが、その結果わかったのは、自分は選挙について本当に何も知らないんだ、ということだった。
選挙に対してというより、政治に対してと書いた方が正確か。

立候補者の演説内容や、掲げている公約くらいは理解できる。理解できるように喋ってくれているのだから当然だ。だから投票所でも「まあ、この人が一番ムカつかなかったな」くらいの判断はできるのである。しかし、「もうちょっとつっこんで考えてみよう」と思ったらもうドンづまってしまう。

例えば私、昨日も当サイトのこの記事を読んでいたのである。

これで納得!「公認・推薦・支持」のちがい(8月7日選挙ドットコム)

>法律上の「政党」の要件を満たすためには、所属する国会議員が5人以上、もしくは、一番近い国政選挙で2%以上の票を得ていることが必要で、満たさない場合には、比例代表区からの立候補ができなかったり、

わからん。ここでもう私のリングにはタオルが投げられる。まず「国政選挙」の定義が私の脳みそからは出てこない。「国政」というからには国の政治に関する選挙なわけで、衆参両院の選挙のことではないかと予想するものの、じゃあ関さない選挙って何だよ、とわからなくなる。物心ついて以来、こういうボヤッとした想像だけで見流してしまった言葉がいくつあったことか。

最近めっきり日参するようになった総務省のWEBサイトで選挙の種類を確認してみたところ、選挙には四種類あるという。すなわち、

1 衆議院議員総選挙
2 参議院議員通常選挙
3 一般の選挙(地方選挙)
4 特別の選挙(国政・地方選挙における補欠選挙や再選挙など)

の四つである。で、goo辞書によれば、国政選挙というのはやはりこのうちの1・2の総称であるらしい。つまり、地方選挙というのは国政選挙ではないということになる。えっそうなの? と一瞬違和感をおぼえたが、脳みその地層の底から、白亜紀後期ごろに進研ゼミか何かで仕入れた知識の化石が「都道府県や市区町村の長や議会議員を選ぶ選挙は、国会議員を選ぶ選挙とは別にあるのじゃよ」と私にささやいてくれた。確かに、言われてみれば埼玉県知事選挙は国政選挙ではなく、地方選挙である。

今度は、「国政」の意味を、愛用のボロ広辞苑(91年・第四版)で調べてみる。「①国の政治。②〔法〕国家の政治組織並びに現実の気候及び基本政策、その実施状況。日本国憲法では国務を国事と国政に分け、天皇の関与する事のない範囲を国政とする。」とある。「天皇の関与する事のない範囲」が国政なのである。そんなことも初めて知った。①の意味しかわかっていなかった。

わからなさはまだ続く。「比例代表区からの立候補ができなかったり」とあるが、「比例代表区」という言葉も、ちゃんと説明しろと言われたら無理だ。何の何に対する比例を指しているのかが説明できない。縄文時代、三学期あたりの試験問題で解いたような気はする。

というわけでまたまた広辞苑をひく。「【比例代表制】選挙区内の諸党派に、それぞれの得票数に比例した議席を配分する選挙制度」。党が得た票数に比例した議席。ふーむそうかそうか……。

とまあ、こんな風に言葉の一つ一つを確認しなければWEB記事ひとつ読めないくらい、私の頭の中の政治的知識は消しゴムなのだ。高校生の頃、確かにその辺りについては学んだ覚えがある。教科書をせっせと丸暗記した覚えもある。

でも多分98%はろ過済みだ。情けないが、これが私の現状なのである。

卑しくもライターという職業柄、その辺りを多少ごまかして書くことは簡単だ。が、私に課せられた役割はまさにその無知をさらすことなので、石を投げられることを承知でこのまま連載は進めていく。多分これを読んでいる人の中にも、世間的には「大体のことは知っていますよ」という表情をしつつ、高校の公民のテストを今解いたら危うい、という人がたくさんいると思うのだ。そういう人たちのために私は書こう(いないなら私のようなアホは少数ということであり、それはそれでめでたい)。

浦和から帰還後、そんな低空飛行の決意を抱きつつ、勉強のために借りてきた子ども向けの社会科本を読みふけっていると、タカハタ総統から次なる指令がきた。

タカハタ総統「次、『センカンセンカンの神様』のところに行ってくれる?」
小池「神様!?」
タカハタ総統「神様みたいな人ってことだよ。元センカンの方なんだけど」
小池「戦艦? ヤマトですか? 天龍ちゃんですか?」
タカハタ総統「選挙管理委員会のことだよ。選管って略すの」

選挙管理委員会といえば、選挙の公正性を守るためのあらゆる仕事を一手に管理している公的機関である。『イラストで学べる選挙制度第一巻 日本の選挙制度』に書いてあった。でもそれ以上のことは知らない。

小池「選挙管理委員会のことなんてわからないんですけど」
タカハタ総統「わからないところにあたって砕けてもらうのがこの連載の主旨だからいいんだよ。今回は選挙プランナーもつけてあげるから。じゃ、明日川崎に●時ね」
小池「えー……」

「選挙プランナー」というのも私にとっては謎の職業だ。ともあれ我が選挙入門、ここからが本番である。

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