社説:空き家の老朽化 活用や流通に知恵絞れ

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 少子化や核家族化で増加傾向の空き家の老朽化が進んでいる。築後50年以上の家屋が半数近くを占め、長らく誰も住まないまま深刻な弊害を生んでいる実態が、総務省の調査で浮かび上がった。

 人が住まなくなった家は劣化が進みやすい。災害や火災時に被害を拡大させるリスクも高い。

 空き家問題の解決は一朝一夕には難しいが、これ以上先送りできない。危険家屋の撤去と併せ、空き家の利活用や流通をどう進めるのか、知恵を絞りたい。

 総務省の住宅・土地統計調査によると、2018年10月時点で全国の空き家は約849万戸。このうち所有者が分かった約70万戸を対象に集計した結果、建築時期は既に50年以上経過した「1970年以前」が約32万4千戸(46.4%)に上った。国が81年6月から適用した震度6強以上の揺れでも倒壊しない耐震基準を満たしていない空き家が多いとみられる。

 所有者の過半数が「相続・贈与」で入手したと答え、空き家の多くは管理が行き届かない状態で放置されている。使い道が見つからず、改修費用がかさむ上、撤去にも高額を要するためだ。

 こうした空き家について、強制撤去などの権限を地方自治体に持たせた空き家対策特別措置法が2015年に全面施行された。

 倒壊などの恐れがある「特定空き家」は、自治体が立ち入り調査し、所有者に撤去や修繕を求められる。従わないと行政代執行で強制撤去も可能だが、すべてを解体撤去する財源は自治体にない。

 京都市によると、市内に管理状態の悪い空き家が約1050戸ある。損傷が著しい約340戸は所有者の確認を進めており、特措法に基づく解体の行政代執行にも先月初めて踏み切ったという。

 全国の自治体のうち、特措法に基づき、地域の空き家の現状分析や活用策を盛り込んだ対策計画を作成したのは6割程度にとどまる。解体撤去などに不可欠な法令知識を備えた専任職員を置いていない市区町村が約3割もあり、対応力の不十分さが指摘されている。

 人口が減って需要が伸びないのに住宅の新築は続いている。これでは、あえて古い物件を選ぶ人は限られる。空き家問題の解決には、中古住宅の資産価値を適正に評価し、売ったり貸したりできる仕組みも欠かせない。

 特措法は5月に施行後5年を迎える。改めてその効果や問題点を検証し、国の住宅政策や制度を総合的に見直す必要があろう。