自民党の支持率UP!しかし、不支持が高い内閣支持率…。一体なぜ? 2020年3月電話・ネットの意識調査 結果解説

選挙ドットコムでは、日本国内の18歳以上の方を対象としたハイブリッド方式(電話調査とインターネット調査を同じ設問を行う方式)による3月度全国意識調査結果を実施いたしました。電話調査(JX通信社と共同実施/2月29日・3月1日)では1,979件、インターネット調査(Gunosyリサーチを使用/3月14日・15日)では1,000件の有効回答を得ました。

「選挙ドットコムちゃんねる」でも今回の調査について解説をしています。
今回はゲストとしてJX通信社の米重さんに来ていただきました!
ぜひ、チャンネル登録お願いします!

ネット調査と電話調査の回答者に占める年代別割合について

調査の回答者の年代別の割合は上記のグラフの通りです。ネット調査では、40代以下での回答者が全体の約7割を占めており、比較的若い年代層の意識を抽出しています。また、電話調査では、回答者の7割以上を50歳以上で占めており、比較的高い年齢層の意識を抽出しています。

参考として昨年の7月に行われた第25回参議院議員通常選挙の投票者に占める年代別の割合も掲載しました。50代以上の投票者が7割近くを占めており、現段階では電話調査の方が投票者に近いサンプリングとなっています。

しかし、電話調査だけでは40代以下のサンプルをなかなか獲得することができません。選挙ドットコムのハイブリッド調査ではネット調査も同時に行うことにより、電話調査だけでは見えてこない若い世代の意識も抽出するように心がけています。

ネット調査で自民党の支持率がUP

ハイブリッド意識調査(電話×ネット)による 政党支持率(令和2年3月)

普段支持している政党については上の図の通りです。電話調査・ネット調査ともに「支持政党がない」という回答の次に「自民党」支持層が多いという結果となりました。全体的にみると2月度調査の傾向とあまり変化はないと言えます。

3月のハイブリッド調査において特徴的なことは、自民党の支持率がネット調査で4ポイント以上増加したことです。選挙ドットコムちゃんねるにゲスト出演したJX通信社の米重氏は「自民党が評価されているとまでは言い切れないが、新型コロナウイルスの感染がヨーロッパほど深刻化していない点や、一斉休校要請という思い切った決断が数字として表れているとも捉えられる」としています。

また電話調査では、ほとんどの政党が支持率を下げるか維持し、「支持なし」が増加しています。一方でネット調査では、ほとんどの政党が支持率を上げ、「支持なし」が減少しています。

これは、電話とネットで調査時期が若干ずれたことが影響していると推察できます。安倍総理と政府による一斉休校の要請という大胆な決断に対し、3月初旬に電話調査をした際には多くの国民がその動向を様子見していたが、3月中旬頃にはある程度何らかの評価を下して各政党支持に変わったという見方もできます。ネット調査では「支持なし」が最も多い状態ですが、その数値は2月度と比べると8ポイント以上減少しており、非常に大きな変化と言えます。

内閣支持率:「支持」も「不支持」も増加

ハイブリッド意識調査(電話×ネット)の2月・3月の比較

内閣支持率は「不支持」が「支持」を 7ポイント以上 上回りました。また先月と比較をすると、「支持」・「不支持」ともに増加しました。そして、不支持の中では「全く支持しない」が「どちらかと言えば支持しない」より多いという状態に変化はありませんでした。

ハイブリッド意識調査のネット・電話の比較

ネット調査と電話調査の比較は上の図の通りです。電話調査では「支持」が42.6%、「どちらとも言えない」が9.7%、「不支持」が47.8%となりました。「不支持」が「支持」を 5ポイント以上 上回っていますが、ほぼ拮抗している状態とも言えます。

ネット調査では「支持」が27.4%、「どちらとも言えない」が33.1%、「不支持」が39.5%となりました。中間的な考えである「どちらとも言えない」割合が電話調査よりも高いことは特徴的です。また、「不支持」が「支持」を大きく上回っていることも大きな特徴です。

ハイブリッド意識調査(電話×ネット)の年代別比較

年代別にクロス分析は上の図の通りです。「18・19歳」「20代」「80代」はそれぞれ全体の10%にも満たないため参考値となります。

30代~70代で見ると、年代が上がるにつれて「どちらとも言えない」という回答が減少していることが分かりました。年代が上がるにつれて「内閣の支持・不支持」がはっきり分かれる傾向が見て取れます。70代では不支持が50%を超えていることも特徴的です。

以前、選挙ドットコムちゃんねるで「安倍総理と政府による一斉休校の要請について」を取り上げた回で解説で出演をしていた松田馨氏が「70代は他の年代と比較すると内閣支持率が低く出る傾向がある」と言っていましたが、その傾向がはっきりと示されたと捉えられます。

ハイブリッド意識調査(電話×ネット)の支持政党別比較

支持政党別でみると「支持する政党はない」と答えた層では、「不支持」が「支持」を30ポイント以上も上回りました。

与党である自民党と公明党や、憲法改正などで自民党と政策が近い日本維新の会を支持する人の中では「支持」が「不支持」を大きく上回っていますが、「不支持」の回答は自民党支持層では10%程度、公明党支持層では30%以上、維新の会支持層でも30%以上ありました。また、野党各党では「不支持」が「支持」を上回っています。

全体のまとめとして、ゲストの米重氏は「目先の様々な出来事だけで政権支持率が動くというわけではない。ただ、政党では自民党しかいないけど、安倍政権はちょっと、という人もいることを示す結果とも捉えられる」としています。

そのほかにも様々な調査結果が!

3月のハイブリッド調査では、この他にも「政府のコロナウイルス対応について」、「安倍総理と政府による一斉休校措置の要請について」などを調査しています。これらの調査結果は記事として後日リリースしますので、ぜひご覧ください。

今後も選挙ドットコムでは毎月定例で意識調査を実施し、みなさまにお伝えしていきます。また、選挙ドットコムのハイブリッド意識調査では、これまでではわからなかった全世代の声を集めることができます。ご興味がある方はぜひお問い合わせください。

調査概要:電話調査は令和2年2月29日(土)と3月1日(日)に、ネット調査は令和2年3月14日(土)と15日(日)に実施。日本国内の18歳以上の方を調査対象とし、有効回答数は電話調査(JX通信社との共同実施)で1,979件、インターネット調査(Gunosyリサーチを使用)で1,000件を取得。電話調査は無作為に電話番号を発生させるRDD方式をオートコールで実施。ネット調査ではスマートフォンアプリのダウンロードユーザーを対象にしたアンケートツールにより実施。調査データの数値は小数第2位以下を四捨五入。

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