トヨタと日野、CO2排出量90%削減を掲げ、燃料電池大型トラック、共同開発

 新型コロナウイルスの影響は、国内自動車生産にも影響をおよぼし始めている。トヨタ自動車も例外とは言えず国内5工場の7ラインで生産を停止する。感染拡大で世界の自動車需要が落ち込むことは避けられないとして、グループの日野自動車の工場も含めて来月3日から一定期間、稼働を停止することを決めた。

 そんななかで将来を見据えた大型計画が発表された。トヨタ)と日野は、燃料電池大型トラック(FCT)を共同開発し、今後、走行実証などを通じて実用化に向けた取り組みを進めると発表したのだ。

 両社は、地球環境問題を経営課題重要事項に位置づけ、2050年までに2010年比で走行中CO2排出量の90%削減を掲げ、環境対応車の技術開発と普及促進に尽力している。今後、さらにCO2排出量の削減を実現するには、国内商用車全体のCO2排出量の約6割を占める大型トラックの環境性能の向上が極めて重要だ。

 商用車の電動化は、高い環境性能に加えて、事業に使う車両としての実用性・経済性が求められる。そのため、走行距離や積載物、稼働シーンなどに応じて適材適所で最適なパワートレーンの取捨が重要だ。幹線輸送に使われる大型トラックには、十分な航続距離と積載量、そして短時間での燃料供給が求められる。トヨタと日野は、エネルギー密度の高い水素を燃料とする燃料電池車が有効であるとして協働を進めるわけだ。

 今回、共同開発する燃料電池大型トラックは、日野の大型トラック「日野プロフィア(FR1AWHG)」をベースに、両社の持つ技術を最大限に活かして開発する。シャシーは燃料電池車に最適なパッケージングとして専用設計し、徹底した軽量化により十分な積載量の確保を目指す。パワートレーンはトヨタの次期「MIRAI」用に新開発されるトヨタFCスタックを2基搭載し、日野の強みである大型車ハイブリッド技術を応用した車両走行制御を組み合わせる。航続距離は600kmを目標とする全長×全幅×全高11990×2490×3780mm、総重量25トン級の大型トラックだ。もちろん環境性能と商用車としての実用性を高次元で両立することを目指すという。

トヨタと日野は、水素を将来の有力なエネルギーと位置づけており、2003年の燃料電池バスの共同実証から15年以上にわたり、燃料電池商用車の技術開発および普及促進に努めてまいりました。今後さらに関係を強固にし、水素社会の実現に向けて取り組みを加速してまいります。(編集担当:吉田恒)

「HINO FR1AWHG)」をベースに次期トヨタのFCV「MIRAI」用に新開発するトヨタFCスタックを2基搭載するトヨタと日野・共同の25トン級の大型トラック

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