上野村のサクラ 大津に苗木贈る 御巣鷹の尾根管理人の黒沢さん

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520本になるまで苗木を贈り続けたいと話す黒沢さん

 群馬県の日航ジャンボ機墜落事故現場「御巣鷹の尾根」(上野村楢原)の管理人、黒沢完一さん(76)が24日、大津市の古刹(こさつ)、石山寺にヤマザクラの苗木30本を発送した。事故後、寺には犠牲者数と同じ520本の苗木が植えられたが、動物の食害で近年減少。黒沢さんは「520本になるまで毎年送り続けたい」としている。

 同寺の桜は、事故で犠牲となった能仁千延子さん=当時(22)=の姉で、寺の副座主を務める鷲尾博子さん(64)らがソメイヨシノなど桜の苗木を境内に植えたことで知られる。

 黒沢さんは昨年3月に初めて寺を訪問。見事な桜に感動すると同時に、食害で約280本しか残っていないことを知った。村に戻ってから「寺の桜を補いたい」との思いが強まり、自宅近くの畑で3年ほど前から育てていた苗木を贈ることを思い立ったという。

 黒沢さんは高さ1メートルほどの苗木を掘り起こし、約90センチに切りそろえた。10本ごとにまとめて梱包(こんぽう)した後、尾根に広がる雪景色や千延子さんの墓標など、最近の状況を伝える写真を同封した。黒沢さんは「高齢や遠方のために御巣鷹の尾根まで慰霊に来られないご遺族が、上野村の桜を見られる機会をつくりたい」と願い込める。

 黒沢さんは昨年、岩手県雫石町上空で起きた航空機の「雫石事故」を慰霊する「慰霊の森」(同町西安庭)にも訪れており、4月に同じく苗木を贈るという。