現役国立大生ナックルボーラーが独立リーグへ 挑むNPBへの道「上のレベル目指して」

関西独立リーグの堺シュライクスに入団した佐野太河【写真:広尾晃】

千葉大4年生ながら関西独立リーグの堺シュライクスに入団した佐野太河投手

“フルタイムナックルボーラー”としてSNS上などで注目を集めてきた佐野太河投手は今季、関西独立リーグの堺シュライクスに入団した。千葉大学に在籍する現役国立大生と言う異色の経歴を誇る佐野に、独立リーガーとして歩み始めた現状について語ってもらった。

――現役大学生なんですね?
「今度4年生になります。千葉大学法政経学部の経済学コースに在学しています」

――大学で野球部に在籍していた。
「硬式野球部でプレーしていましたが、3年生秋のリーグ戦(千葉県大学野球連盟3部)のあとに退部しました。ナックルボールと言う自分の武器に自信が持てるようになったので、もっと上のレベルで通用するか試してみたいと思ったんです。いくつか独立リーグのトライアウトを受けて、堺シュライクスに入団しました」

――ナックルはいつごろから投げるように?
「中学の頃から遊び感覚で投げていたんですが、キャッチボールなどでだんだん投げられるようになりました。中学生の頃はピッチャーではなく、高校(浜松南高校)の途中からピッチャーになったんですが、高校時代もずっと練習していて、大学の途中から打者を打ち取ることができるようになりました」

――好きな投手はRA・ディッキー(MLBの代表的なナックルボーラー、通算120勝、サイヤング賞受賞)だとか?
「そうです。無回転で落ちたり、揺れたりするボールを目指しています。球速はマックスで112キロ、ふつうは100キロ少しです」

――3月17日の練習試合では先発して、2回を投げて6失点でした。初めての実戦登板はいかがでしたか?
「大学のリーグよりもレベルはやっぱり高いですね。今日は、ストライクが入らなくて四球をたくさん出して自滅してしまいました。でも、ストライクゾーンにボールが行けばそれほど打たれないと思います。とにかくコントロールを良くしないと通用しないと思います」

――大西宏明監督や藤江均コーチからはどんな指導をされていますか?
「監督やコーチからは、ナックルボーラーである以前に普通の投手として必要なことを身につけなさいと言われています。投球フォームの基本とかクイックとかフィールディングとか、投手の基本をしっかり身に着けていきたいと思っています」

――今シーズンは堺シュライクスの選手としてプレーする。
「成績を残してNPBのスカウトの目に留まるようになりたいですね。同級生は3年生のうちに就職活動を終えていましたが、僕は就職活動はやりませんでした。就職はしません。野球一本でいきたいと思います。両親も“自分の好きなことをやりなさい”と応援してくれています。来年以降も、いつまでとは決めずに、挑戦できるのなら上のレベルを目指して頑張りたいです。無回転のナックルボールに磨きをかけて、レベルの高い打者を打ち取れるようになりたいですね」(広尾晃 / Koh Hiroo)

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