「花粉症です」 くしゃみトラブル防止にバッジ人気急上昇

「花粉症マーク缶バッジ」

 新型コロナウイルスの感染拡大を受け、川崎市中原区の雑貨店が手掛ける缶バッジが脚光を浴びている。花粉症やぜんそくがあることを周囲の人に告げるアイテムで、せきやくしゃみによるトラブルを防ぎたい人から注文が殺到。ハンドメードでは製造が追い付かず、急きょ工場生産に切り替えて対応している。

 「花粉症マーク缶バッジ」と「ぜんそくマークバッジ」を製造するのは、ハンドメード雑貨店「エピリリ」。店主の牧野美和さん(38)がデザインし、昨年から店頭で販売を始めた。

 牧野さんは消しゴムはんこ教室を主宰。教室に参加した友人が「ぜんそくマーク」と呼ばれるバッジを作りたいと話したことがきっかけだった。牧野さんもぜんそくの症状があり、せきの原因が感染症ではないことを知らせるバッジ作りを考案した。

 コロナウイルスが猛威を振るう以前は1日に数個程度売れるものだったが、電車内でのせきやくしゃみを巡るトラブルが報道されるにつれ、注文が増加。2月にインターネット上で販売を始めると、テレビ番組でも取り上げられ、現在の注文数は1日当たり数百個に上るという。

 従来は自社でハンドメードで対応していたものの、手作業では追い付かず、生産は知人の工場に依頼するようになった。

 周囲の目を気にする花粉症やぜんそくの人向けの商品が飛ぶように売れる状況に、牧野さんは複雑な表情も見せる。「周囲の理解が進み本来はない方がいい」と牧野さん。店舗に買いにくる人の中には「(周囲に勘違いされ)つらい思いをしてきた」と涙ぐむ人も少なくないという。

 牧野さんは「一日でも早くコロナウイルスが終息し、せきやくしゃみに過敏になる状況が収まってほしい」と話している。

 バッジは500円。キーホルダータイプは900円(ともに税抜き)。店頭やインターネットショップで販売するほか、今月末からは全国の一部書店でも取り扱う予定。

© 株式会社神奈川新聞社