4月の尼崎JR脱線事故追悼慰霊式、新型コロナ感染拡大で中止

©株式会社神戸新聞社

追悼慰霊式典の中止について説明するJR西日本の長谷川一明社長=25日午前、尼崎市久々知3

 JR西日本は25日、新型コロナウイルスの感染拡大を受け、4月25日に尼崎市と伊丹市で予定していた尼崎JR脱線事故の追悼慰霊式を中止すると発表した。発生15年の節目を迎える年だったが、東京五輪をはじめ各地で大規模行事の中止や延期が相次ぐ中、遺族の多くが「仕方がない」と受け入れる考えを示した。

 「今の状況で安全を考えればやむを得ない」。長女を亡くした大森重美さん(71)=神戸市北区=は一定の理解を示す。

 JR西は式典の行事は中止するものの、事故現場に整備した追悼施設「祈りの杜」などは遺族や負傷者のために開放する。

 しかし、大森さんは「あそこは事故現場で、娘がいる場所ではない。式典がないなら現場にも行くつもりはない」と語った。

 また、長女を亡くした藤崎光子さん(80)=大阪市=は「15年がたち遺族も高齢化している。感染の不安を抱えて慰霊式をするより中止してくれてよかった」と話した。遺族の中には延期を求める意見も一時あったが、長谷川一明社長は「4月25日は特別な日で、その日にやらなくてはという判断。さまざまな意見はあると思う」と語った。

 同施設では4月25日午後から一般参加も受け付けるが、記帳台の設置や、JR尼崎駅からのシャトルバスの運行は取りやめる。(前川茂之)