「ウイルスとともに生きていく最悪のシナリオも」神戸大・岩田教授

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感染症専門医の岩田健太郎神戸大教授

 東京五輪が2021年夏までに延期される方針が固まるなど、新型コロナウイルス感染拡大の影響が広がり続けている。感染症専門医の岩田健太郎神戸大教授が25日、神戸新聞社の取材に応じ、政府の対応や今後の対策について語った。(聞き手・井川朋宏)

 -東京五輪の1年延期方針が明らかになった。

 「1年というのは、選手たちのモチベーションやパフォーマンスの維持といった極めて政治的な判断。科学的、医学的な根拠でつくられたわけではないので、妥当なのかはわからない」

 -国の対応をどう見るか。

 「オーバーシュート(爆発的患者急増)を避けなさいとか、流行のピークをフラットにしましょうとかはスローガンであって、具体的な数字、データを伴わなければ目標にならない。目標を明確にしないと検証ができず、『よく頑張った』という感想しか残らない。2009年の新型インフルエンザ流行のときもまさにそうだった」

 -兵庫県はクラスター(感染者集団)の箇所数が全国最多。すべき対策は。

 「兵庫にかかわらず、クラスターを見つけ、(感染者を)トレーシング(追跡調査)して対策するという、今と同じことを繰り返すこと。感染が広がって追えなくなれば対策ができなくなるので、抑え込むためにベストを尽くすべきだ」

 -終息の見通しは。

 「分からない。終息すればいいなあ、ぐらいの漠然とした希望しかない。一番悲観的な見方としては、終息しないで、ウイルスとともに生きていくしかないという最悪のシナリオも準備しておかないと」

 「ワクチンや治療薬が開発されても、流行そのものを遮断する保証はない。新型インフルも一緒に生きていく覚悟を決めた。同じようになる可能性がある」