PALTEK、FPGAコンピューティングプラットフォーム「M-CUBE」を受注開始

5Gによる大容量、超低遅延、多数同時接続な通信インフラを活用することで、従来クラウドで行われていた処理の一部を基地局の小規模なデータセンターで行うことで、工場制御、都市交通制御、電力制御などタイミングクリティカルな処理を効率的に実現することができる。このような一定エリア内の通信処理の効率化を図る技術をMulti-Access Edge Computing(以下、MEC)と呼ぶ。MECでは、データをクラウドに送信して処理するのではなく、ユーザーに近い場所(エッジ)でデータの収集と処理を行うため、遅延が減り、広帯域幅アプリケーションを準リアルタイムで実行できる。そのため、エッジ領域の高機能化による、個人情報のカプセル化、IoTのローカルな管理、クラウドへの情報輻輳を防ぐ事前処理などによるクラウドとのシームレスな連携や、情報管理が可能となる。そこで、株式会社PALTEKは、MECやAIの推論処理などの高速データ処理を実現する、FPGAコンピューティングプラットフォーム M-CUBEの受注を開始した。M-CUBEは、複数のM-CUBEをつないで、単一のFPGAであるかのように扱うことができるマルチFPGAシステム FiCに適合している。FPGAは、アルゴリズムをハードウェアで実行する高速計算用加速器として注目されている。慶応義塾大学理工学部教授の天野英晴氏が中心となって提唱するマルチFPGAシステム FiCは、価格性能比に優れた中規模FPGAを高速の双方リンクで複数本接続した大規模計算システムで、全体として巨大な回路を構成することができる。また、柔軟なアプリケーション変更や複数ユーザーによる使用にも対応しており、回線交換方式をとっているため、ディープラーニングのような同期が必要かつデータサイズが予測できるようなアプリケーションにも適しているシステムだ。MECにFiCを活用することでエッジ側での高速処理を実現し、低消費電力で、準リアルタイム処理を行うことが可能となる。今回PALTEKが受注・販売するM-CUBEは、以下の特長により低コストかつ高性能なシステムを実現できる。

  • 価格性能比に優れたザイリンクス社のSoCである Zynq UltraScale+ MPSoCを搭載(Zynq UltraScale+シリーズ最大のXCZU19を搭載)
  • SAMTEC Fireflyケーブルを使用することで高速双方向リンクが可能となり、超広帯域での基板間通信を実現
  • ArmとFPGAの間が広帯域内部バスで接続されているため、システムパフォーマンスが向上

M-CUBEを活用することで、エッジコンピューティングの高速化のほか、4K/8Kなどのビデオ処理やスポーツイベント・ライブでのVR/AR活用、AIによる病巣の診断補助、工場施設でのセンサデータ解析などのワークロードを高速化でき、システムコストや消費電力削減が可能になる。また、PALTEKの自社開発製品であるImage CUBE 2やDATA BRICKとFireFlyで接続することができ、8K映像のデータ処理や8K映像を用いたAIプラットフォームとして活用することができる。

© 株式会社アールジーン