金融緩和が“効かない”?コロナ暴落で株を買うタイミングはいつなのか

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世界的に流行が広がっている新型コロナウイルスの影響で、世界の株式市場は混乱の渦中にあります。2月中旬まで高値圏に位置していた世界各国の株価指数は、軒並み30%程度の下落となりました。

今回のコロナショックによる株価の下落は「世界的な感染拡大懸念」「原油価格暴落」「WHOによるパンデミック宣言」「欧米での感染爆発」という4つの局面に分けられます。

現在は特に「世界各国で渡航制限や外出禁止令」など、実体経済が停滞するという副作用の伴う対応を各国が余儀無くされた結果、景気判断の見直しが相次いでいます。市場関係者の間では、リセッション入りを先取りした相場展開とみる者もいるようです。


不安定な状態が続く相場

世界の株式市場を先導するNYダウは、2月12日につけた最高値の29,551ドルから1ヵ月で1万ドルを超える驚異的な暴落を記録しています。3月12日には2997ドル安(-12.93%)を記録し、20日には節目となる2万ドル割れ。24日に大幅上昇を見せ2万ドルは回復したものの不安定な相場は続いています。

筆者作成

日経平均も2月25日以降下落を続け、23日には先物ベースで1万5,000円の節目割れを試す展開になりました。今週に入り上昇が続き、落ち着きを取り戻したように見えるものの、心理的節目としての機能が期待されていた日経平均の加重平均ベースでのPBR(株価純資産倍率)1倍水準を大幅に下回ってしまっています。

現在のPBRは0.9倍近辺であり、リーマンショック時に半年ほど続いた水準にあります。一方で、日経平均のPBRを単純平均で算出すると、1倍水準は1万3,000円台でまだ割高という見方もあります。

PBRの算出の基準であるBPS(1株当たり純資産)は大幅な低下の可能性は低いとみられていますが、先行きは不透明な状況にあります。

金融緩和でも歯止め効かず

景気後退への対応のひとつとして中央銀行による金融緩和が挙げられます。今回のコロナショックでは各国で利下げなどの緊急的な金融緩和策が行われています。しかし機動的な政策に反して相場の下落を止めることはできていません。

象徴的なのは米国のFRB(連邦準備制度理事会)が3月3日と15日に実施した2度に及ぶ緊急利下げです。これによって1.75%あった政策金利はゼロ近辺まで低下しました。

しかしこの緊急利下げは、想像以上に経済が悪くなるリスクがあること、金融政策の余地がなくなってしまったことなどがかえって意識されてしまい、不安心理が加速する形となってしまいました。

筆者作成

日本では日本銀行によるETF(上場投資信託)の買い入れ政策が行われていますが、損益分岐点といわれる日経平均1万9,500円ラインを一時下回ったとの観測があるなど、バランスシート上の問題も浮上しています。

いくら金融政策によるアプローチを行ったところで、実体経済の担い手である商業施設や消費者が活動していないとすれば、金融政策でコロナショックを解消することは難しく、直接的に影響が出始めている中小企業の資金繰りや収入保障などの大規模な財政出動が必要なのかもしれません。

<写真:ロイター/アフロ>

底が見えない原油価格

景気のバロメーターのひとつである原油価格も3月上旬から歴史的な暴落となっています。原油価格は需要と供給で価格が決まりますが、今回のコロナショックでは供給増、需要減というダブルパンチによって価格の暴落が引き起こされています。

まず需要に関しては新型コロナウイルスの震源地、中国の景気減速が発端でした。2月の統計でもPMI、小売売上高で歴史的な低迷を見せています。

供給に関しては3月6日に行われたOPECプラスの交渉決裂がターニングポイントとなりました。減産合意による原油価格安定を目指していましたが、サウジアラビアとロシアで交渉が決裂しました。その上、サウジアラビアが増産の意思を示し、供給過剰の懸念が浮上しました。

これらの結果、2月に50ドル台をつけていたWTI原油価格は、3月上旬に1バレル30ドル台をつける暴落。欧米での感染拡大が進んだ3月中旬には20ドル台前半をつけるなど、下落が止まりません。

原油価格の暴落は石油系企業の信用不安を呼び起こしています。現在の原油価格水準では採算割れの企業が多いことが予想され、石油系企業が発行している低格付けの社債の金利が高騰することで債券市場への影響が高まっています。

新型コロナウイルスが話題となった当初、ウイルスは一過性のものであり、金融不安は引き起こさないという見方が強かったですが、原油価格の暴落というショックが加わったことにより、信用不安の懸念が浮上する形となりました。

先行きにも不安は残ります。需要面では欧米での感染拡大に伴う都市機能の低下で経済活動の懸念が高まっています。供給面ではサウジアラビア、UAE、ロシアなど各国で増産が予想されるなど、供給過剰の懸念が続きます。原油価格の反転上昇には時間がかかるかもしれません。

株を買うタイミングはいつ?

株価が大幅に調整している現在は絶好の買い場といえるのでしょうか。

金融政策の面では各国が対応をしているものの、徐々に対応策が出尽くしとなり、実体経済が深刻化した際に手立てがなくなるリスクをはらんでいます。

原油価格の面では、OPECとアメリカの協調の可能性があるなど反転の兆しは見えるものの、新型コロナウイルスの影響が世界各国で拡大する中で、需要面での不安は日に日に増している状況です。

たしかに、2月中の株価と比較すれば圧倒的に安く見える株価水準ではあります。しかし、株価は将来の景気を映していることを考えると、ここがバーゲンセールとは言いきれない部分もあるのではないでしょうか。

投資できる時間が今後長く残されている若者世代は、時間分散の効果を利用した積立投資を開始するのにいい機会かもしれません。引き続き、楽観視のできない相場展開が予想されるので、投資を始めるにしても注意が必要です。

<文:Finatextグループアナリスト 菅原良介>