100億市場を前に動力電池リサイクル業界は中断の危機

年末が近づき、中国の動力電池リサイクル企業では、多くの生産ラインが原料の不足により運転を停止している。

役目を終えた動力電池は、その状態でもなお80%の電気量が残存し、低速EVや蓄積エネルギーなどの分野に利用できる。廃棄処分段階に達した場合もコバルト、ニッケル、リチウムなど戦略的希少金属資源のリサイクルに利用される。2015年、中国は世界最大の新エネルギー自動車市場となった。2016年に工業情報化部がそれに関する規範文書を発行したことで、中国の動力電池リサイクル業界が活気を帯び始め、新エネルギー自動車産業チェーンのほとんどが参入している。2020年には初期の動力電池が役目を終える時期になり、動力電池リサイクル市場の規模は300億元に達する可能性があると予測されている。

解説:

市場予測は楽観的であるが、不安要素もある。第一に、統一された電池規格がなく、技術が未熟であるなどの問題から、動力電池のリサイクル利用の経済性には疑問が残ること。第二に、廃棄処分となった電池を分解してリサイクルする上で、ある程度の規模がないと経済効果が得られないこと。第三に、リサイクルチャネルが整っていないため、大量の廃棄電池が非正規メーカーや固体廃棄物リサイクルの末端ネットワークに流入し、大量の生産経営コストを投入した上流の正規メーカーは十分な廃棄電池資源を確保できないことだ。

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