五輪延期に前向きな声 選手の地元「いい調整期間に」

カヌーの水本を応援する懸垂幕=長与町役場

 東京五輪の代表切符をつかんでいる選手や出場が有力視されている選手の地元からは、「もう一段レベルアップした姿で金メダルを」「楽しみを待つ時間が増えた」などと前向きな声が相次いだ。
 柔道の永瀬貴規の地元長崎市で「諏訪ノ森柔道教室」代表として小中学生31人を指導する松添英一郎さん(56)は「けがから復帰したばかり。逆にこの1年間はいい調整期間になるのでは。もう一段レベルアップした姿で、金メダルを」と期待した。
 ライフル射撃の松本崇志が高校まで過ごした島原市では自営業の松田悠助さん(30)が「島原工高の先輩で誇り。延期がきっかけで注目する市民も増えるのでは」と話した。
 カヌー・スプリントの水本圭治が所属する企業チョープロがある西彼長与町は、スポーツ特別賞を贈ったり、町役場に懸垂幕を掲示したりして応援している。同町生涯学習課の日高拓郎さん(39)は「アスリートファーストなので仕方ない。延期をポジティブに考え、来年出場してほしい」。
 バスケットボール男子の日本代表として活躍する田中大貴の地元雲仙市小浜町では昨年夏に後援会が発足。幼稚園時代から知る後援会長の森下晃英さん(62)は「延期は残念だが、楽しみを待つ時間が増えたと思って応援していきたい」と気持ちを切り替えた。
 陸上女子で出場権獲得が期待される廣中璃梨佳の出身校、大村市立桜が原中の陸上部顧問、林田颯太さん(25)は「延期された期間に、さらに力をつけて、チャレンジしてほしい」とエールを送った。
 一方、延期決定で聖火リレーも“保留”状態になった。県立諫早高時代から世界陸上などに出場し、五輪を目指していた同校教諭の藤永佳子さん(38)も県内を走る予定だった。「現役時代に目標だった五輪に関われると楽しみにしていた。来年こそは聖火を持って走りたい」と望みをつないだ。

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