WRCへの登竜門ERCヨーロッパ・ラリー選手権が2020年カレンダー修正版発表。シーズン開幕は5月末

 WRC世界ラリー選手権への登竜門として、欧州域内を中心にチャンピオンシップが展開されるERCヨーロッパ・ラリー選手権が、全8戦を維持した2020年カレンダーの修正案をアナウンスした。すでに延期が発表されていた開幕戦アゾレス・ラリーは9月開催の第5戦へ、第2戦だったラリー・イソラス・カナリアスは12月3~5日の最終戦へと移動され、タイトル決定戦の重責を担う。

 WHO世界保健機構により世界的流行(パンデミック)が宣言されて以降、新型コロナウイルス(COVID-19)の猛威は止まることを知らず、大型集客を必要とするモータースポーツ・イベントでは健康と安全への配慮が絶対的な優先事項となっている。

 そんななか、FIA格式の欧州選手権であるERCは「全8戦のイベント数を可能な限り堅持」しつつ、イベントの収益面や選手の競技に対する欲求、そしてラリーをホストする地元のコミュニティや周辺企業に対しても「歓迎される決定」として、この2020年カレンダー修正案を確定させた。

 ERCのシリーズコーディネーターであるジャン-バティスト・レイは、グランカナリア島の政府当局および地方自治体、スペインのASN、およびFIAと緊密に連携して作成した代替日程の調整は「困難を極める作業だった」と明かした。

「イベントの延期と再スケジュールは明らかに激動をもたらし、一瞬で完了する類の仕事ではない。ラリー・イソラス・カナリアスの開催を可能にするべく、すべての組織で状況を継続的に監視し、異なる日付を確保し、計画された8つのイベントカレンダーを維持することができた」

「日程変更によって影響を受ける他のERCイベントのプロモーターを含め、これを達成するために協力してくれた関係者全員に感謝する」

スペイン領カナリア諸島の中心地、グランカナリア島で開催される、ラリー・イソラス・カナリアス
2019年大会は地元スペイン出身のホセ-マリア”ぺぺ”ロペスがシトロエンC3 R5で制している

「シーズンの開始が遅れると、かなりの妥協と困難が生じることは明らかだが、ドライバー、チーム、パートナーから受けているサポートと協力に引き続き心からの感謝を申し上げる」

「5月末の新開幕戦ラリー・リエパヤ、そして第2戦となったラリー・ポーランドなど、今後のイベント準備は本格化しており、アクション満載で非常に競争の激しいERCシーズンが始まることを楽しみにしている」

 さらに、ラリー・イソラス・カナリアスの大会組織委員長を務めるエルマン・モラレスは、ERCの努力に対し「改めて謝意を述べたい」と続けた。

「言うまでもなく、この状況は我々の計画にはなかったものだが、この間も状況を理解することに努め、(シリーズプロモーターの)ユーロスポーツ・イベント、FIA、およびRFEDA(スペインの自動車連盟)を完全にサポートしてきた」

「仮に、ベースの日付を維持することを決めていたら、おそらく我々は状況に流されて急なキャンセルに直面し、すべての関係者に不確実な結果がもたらされたことだろう。この新しいカレンダースロットにより、すべての熱意を持って2020年シーズンの趨勢を決定するラリーであるという特別な名誉を与えられて、競技と表彰式を主催することができる」

「さらに12月になると、カナリア諸島の群島、風景、気候について、皆さんにより良い条件を披露することもできるだろうね」

大西洋に浮かぶポルトガル領を舞台とするアゾレス・ラリーは9月開催の第5戦へ
2020年のERCシーズンは、5月29〜31日のラリー・リエパヤで幕を開ける予定だ

■FIA ERCヨーロッパ・ラリー選手権2020年カレンダー(修正版)

Rd. Day Venue

Rd.1 5月29-31日 ラリー・リエパヤ/ラトビア(グラベル)

Rd.2 6月26-28日 ラリー・ポーランド/ポーランド(グラベル)

Rd.3 7月24-26日 ラリー・デ・ローマ・キャピタル/イタリア(ターマック)

Rd.4 8月28-30日 バウム・チェコ・ラリー・ズリン/チェコ(ターマック)

Rd.5 9月17-19日 アゾレス・ラリー/ポルトガル領(グラベル)**

Rd.6 10月9-11日 キプロス・ラリー/キプロス(グラベル)

Rd.7 11月6-8日 ラリー・ハンガリー/ハンガリー(ターマック)

Rd.7 12月3-5日 ラリー・イソラス・カナリアス/スペイン(ターマック)**

**=FIA承認待ち

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