『Fate』どれから観る?劇場版「Fate/stay night[HF]」最終章に向けてシリーズ総まくり!

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『劇場版「Fate / stay night [Heaven's Feel] III.spring song」』より - (C) TYPE-MOON・ufotable・FSNPC

 昨年、シリーズ開始から15周年を迎えた『Fate』シリーズ。そのアニメ映画『劇場版「Fate / stay night [Heaven's Feel] III.spring song」』が3月28日より公開されます。(※公開延期が決定。変更後の公開日は2020年4月25日を予定>>詳細

 この作品は、2004年に発売された伝奇活劇ビジュアルノベルゲーム「Fate/stay night(以下SN)」内の物語(ルート)の1つ「Heaven’s Feel(以下HF)」を原作とする、劇場アニメ3部作の最終章です。前2章の興行収入はいずれも15億円を超える大ヒットとなっており、人気の高さが伺えます。同シリーズのスマートフォン向けRPGゲーム「Fate/Grand Order」が記録的大ヒットになっていることも人気の後押しとなっているでしょう。

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 『Fate』シリーズとは、前述の「SN」から始まった『Fate』の名を冠するゲーム・アニメ・漫画・小説などにまたがる作品群のことで、それぞれの作品は独立した物語となっていますが、1つの大きな世界観を共有し、壮大で深遠な世界を作り上げています。

 しかし、シリーズが始まってから15年が経過し、多くの作品が生まれているので、マーベル作品同様、どこから観ればよいのかわからないという人も多いはず。そこでこの記事では、今回公開される「HF」を楽しむために必要な基礎情報を中心に、『Fate』シリーズ作品群を紹介したいと思います。

3つの異なる物語を通して1人の少年の成長を描く!

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 劇場版『HF』3部作は、「SN」を劇場アニメ化した作品ですが、このゲームには3つの物語(ルート)が存在し、選択肢によって分岐する仕組みになっています。それぞれのルートは「Fate」「Unlimited Blade Works(以下UBW)」「Heaven’s Feel」と呼ばれており、それぞれ展開も結末も異なり、独立した物語として別個に映像化されています。そのため、「Fate」や「UBW」を鑑賞していなくても「HF」を独立した物語として楽しむことが可能です。

 3つのルートがそれぞれどんな物語で、主人公がどんな課題に向き合うのか見てみましょう。

シリーズ初のアニメ作品!「Fate/stay night フェイト/ステイナイト」

 2006年に全24話でTVアニメ化された『Fate』シリーズ最初のアニメ作品。「SN」第1のルート「Fate」を映像化したもの。あらゆる願いを叶える万能の願望機“聖杯”をめぐり、七人の魔術師がそれぞれの使い魔(サーヴァント)を召喚して戦わせる“聖杯戦争”。その争奪戦に巻き込まれる高校生、衛宮士郎の戦いを描いています。

 かつて大災害に巻き込まれたところを助けてくれた養父の衛宮切嗣のような“正義の味方”になりたいと願う士郎は、聖杯戦争により無関係な犠牲者を出さないために参加を決意し、偶然にも呼び出されたサーヴァントのセイバーとともに他の魔術師やサーヴァントと戦います。メインヒロインは士郎のサーヴァント、セイバーであり、彼女と士郎の想いと別れを描いています。ここでの士郎は自分に人を守る力がないことに挫折し、セイバーに助けられる不甲斐なさに悩み、それを受け入れ、自分にしかできないことを見つけ成長していきます。

偽物が本物を超える!「Fate/stay night [Unlimited Blade Works]」

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 第2のルート「UBW」の映像化で、2010年に劇場アニメ化、2014年に全26話でTVシリーズとして再アニメ化されています。劇場版も迫力あるアクションなどで見応えある作品で、非常に長い原作が一本の映画に収められております。ここでは主にTVアニメ版について記述します。

 こちらのルートのヒロインは、士郎の同級生で魔術師である遠坂凛。聖杯戦争の参加者で士郎と敵対する関係でもありますが、共闘関係を築いていきます。

 士郎は“正義の味方”になりたいという願いが自分本来のものではなく、養父から借り受けたものでしかない“偽物”なのではと葛藤することに。そんな自分との戦いを通じて、偽物であったとしても“本物”を超えることがあるということを描いています。

愛する人のために戦う!『劇場版「Fate / stay night [Heaven's Feel]」』

『劇場版「Fate / stay night [Heaven's Feel] III.spring song」』より - (C) TYPE-MOON・ufotable・FSNPC

 第3のルート「HF」を映像化したもので、2017年に第一章『presage flower』、2019年に第二章『lost butterfly』が公開、そして最終章『spring song』の公開が2020年3月28日に予定されています(※公開延期が決定。変更後の公開日は2020年4月25日を予定)。ヒロインとなるのは士郎の後輩・間桐桜で、これまでの前2ルートでは他者のために戦ってきた主人公の士郎が、愛する人のために戦う物語となっています。それは、養父から借り受けた「正義の味方になる」という目標から、初めて本当の意味で自分の意思で掴み取った選択であり、オイディプスの「父殺し」のような普遍的な成長の物語でもあるように筆者は考えます。

 また、聖杯戦争の隠された真実が明らかになるのもこのエピソードで、「SN」の総決算ともいうべき内容になっています。

 3つのルートはどれも士郎が聖杯戦争に巻き込まれるところから始まり、どこから鑑賞しても問題ありません。しかし、より深く楽しみたい方は「Fate」→「UBW」→「HF」の順番に鑑賞するのを筆者はオススメします。もちろん、「HF」の劇場版は非常に高いクオリティーで製作されているため、それだけでも十分楽しめますが、前2つのルートを知っておくとさらに深く楽しめる仕掛けになっています。

 もうひとつ加えると、『Fate』シリーズの1つであり、第四次聖杯戦争を描いたTVアニメ「Fate/Zero」を観ると、「SN」世界の深度と解像度がさらに高まります。

虚淵玄が原作執筆!「Fate/Zero」

(C) Nitroplus/TYPE-MOON・ufotable・FZPC

 第四次聖杯戦争を描いた作品。主人公は士郎の養父、衛宮切嗣であり、彼がセイバーと反目しあいながら、他の魔術師たちと壮絶な戦いを繰り広げる内容です。セイバーや言峰綺礼など「SN」のキャラクターも多数登場する作品で、本作を踏まえて観ると、さらに「SN」の物語に渦巻く大きな運命(Fate)を感じ取れるようになるでしょう。原作小説を執筆したのは「魔法少女まどか☆マギカ」の脚本家として有名な虚淵玄。2011年にTVアニメ化され、その高いクオリティーで制作会社ufotableの人気を不動のものにした作品です。

他の『Fate』シリーズ

 『Fate』シリーズは「SN」と「Zero」以外にも多くの物語を紡ぎ続けています。ここでは映像化された作品を中心に紹介したいと思います。基本的に、それぞれのシリーズ・作品は時系列でのつながりはないため、どの作品から鑑賞しても問題はありません。

月面が舞台!「Fate/EXTRA」シリーズ

「Fate/EXTRA Last Encore」より - (C) TYPE-MOON / Marvelous, Aniplex, Notes, SHAFT

 主にゲームで展開されているこのシリーズは、近未来を舞台にしたSF作品で、月面を舞台に「ムーンセル・オートマトン」と呼ばれるあらゆる事象を制御できる物質を巡って、さまざまな陣営がサーヴァントを伴い争うというもの。ゲーム作品の他、「Fate/EXTRA Last Encore」というアニメ作品も製作されています。魔術と科学技術が混在する、「SN」とはイメージの異なる作品で、『Fate』シリーズの世界観をさらに押し拡げ、「SN」でも登場したサーヴァントも活躍するなど、聖杯戦争と英霊召喚というアイデアの汎用性が存分に生かされた作品です。

七対七!陣営が2つの「Fate/Apocrypha」

(C) 東出祐一郎・TYPE-MOON / FAPC

 東出祐一郎による『Fate』シリーズのスピンアウト小説を全25話でTVアニメ化したもの。七騎のサーヴァントが争う聖杯戦争を拡張し、2つの陣営による、七騎VS七騎の“聖杯大戦”を描いた群像劇です。大戦の裁定者となるサーヴァント、ジャンヌ・ダルクと、ホムンクルスの少年、ジークを中心に多くのサーヴァントと魔術師の思惑が交錯します。

主人公は魔法少女!『Fate / kaleid liner プリズマ☆イリヤ』シリーズ

 「SN」に登場した魔術師の1人、イリヤスフィール・フォン・アインツベルンを魔法少女として主人公にしたスピンオフ作品。TVアニメシリーズが4期まで製作され、劇場版も作られています。女の子たちの日常をコミカルに描いた前半から、物語が進むにつれて重厚さを増していき、魔法少女という奇抜なアイデアながらもしっかり『Fate』シリーズのエッセンスが存分に感じられる作品です。

本編とのギャップがすごい!日常系の「衛宮さんちの今日のごはん」

(C) TAa・KADOKAWA・TYPE-MOON / 「衛宮さんちの今日のごはん」製作委員会

 「SN」の主人公、衛宮士郎の料理が得意という設定を生かしたスピンオフ作品で、「SN」の登場人物たちによるほのぼのとした日常アニメ。「SN」と同じ冬木市を舞台にしていますが、完全にパラレルな世界で殺伐とした聖杯戦争は行われず、衛宮士郎が縁のある登場人物たちと料理をしながら日常を過ごす姿を描いています。ハードな展開の「SN」本編とは180度異なる作風で、命の奪い合いで辛い思いをしたファンにとっては、癒やし効果抜群の作品です。「Zero」や「SN」本編を観た後に、本作を観るととても幸せな気持ちになれるでしょう。

劇場版の公開も決定!爆裂人気な「Fate/Grand Order」

「Fate/Grand Order -絶対魔獣戦線バビロニア-」より - (C) TYPE-MOON / FGO7 ANIME PROJECT

 『Fate』シリーズ初のスマートフォン向けRPGで、爆発的な人気を博しています。人類史滅亡の原因となった歴史のズレ“特異点”を修復するために、主人公とサーヴァントたちが戦う物語です。2018年の3周年イベントにて、ファンに人気の高い、第1部第六特異点と第七特異点のアニメ化が発表され、第七特異点は2019年10月にTVアニメ化、第六特異点は前後編の劇場アニメとして前編が2020年夏に公開予定です。

本格ミステリー!「ロード・エルメロイII世の事件簿」

(C) 三田誠・TYPE-MOON / LEMPC

 『Fate』シリーズではなく「Fate/stay night」に連なる本作は、「Zero」に登場した半人前の魔術師、ウェイバー・ベルベットの成長した姿を描いた作品で、魔術絡みの難事件を主人公の推理によって解決していく本格ミステリー。2019年にTVアニメ「ロード・エルメロイII世の事件簿 -魔眼蒐集列車 Grace note-」が全14話で製作されており、第四次聖杯戦争で生き残った魔術師であるウェイバーの後日談が紡がれます。

 『Fate』シリーズは、深く知れば知るほど魅力が増していきます。これからも数多くの物語を紡いでいくことでしょう。(杉本穂高)

※=公開延期決定にともない、2020年3月26日21時に追記しました。