大和ハウス・樋口会長が6月で退任

退任する樋口会長は、大和ハウスの中興の祖だった

大和ハウス工業(大阪市)は3月26日、樋口武男氏が6月26日の株主総会をもって取締役会長を退任し、最高顧問に就任することを発表した。

樋口氏は1938年4月29日生まれの81歳、1963年8月に大和ハウスに入社。常務取締役や専務取締役などを経て、1993年6月に宅地開発などを手がけるデベロッパーだった大和団地の代表取締役社長に就任。714億円の年商で有利子負債が1418億円あった会社を、2000年3月期には売上高を1441億円に倍増させた。

2001年4月には大和団地と合併した大和ハウスの代表取締役社長、2004年4月に代表取締役会長兼CEOに就任。トップとなってからは「熱湯経営」と称し、大企業病の一掃へ支店長の権限を拡大させたり、社内FA制度を導入したりするなど組織改革を断行した。また「アスフカケツノ(安全・安心、スピード・ストック、福祉、環境、健康、通信、農業の頭文字)」を掲げ、高齢者住宅や太陽光発電、蓄電池など先を見据えた多角化や海外進出に果敢に挑んだ。同社が得意としてきた事業用建築でも、近年は大型物流倉庫などを伸長している。2001年3月期に約1兆162億円の売上高は、2020年3月期に4兆3500億円の見通しとなっている。

2014年4月には旭日大綬章を受章。2019年6月に代表権を返上し、取締役会長となっていた。樋口氏は今回の決定にあたり、創業者である石橋信夫氏(故人)の薫陶を受け、「人財」育成や新たな価値創造に取り組んでいたことを説明。最高顧問として今後も会社をサポートする他、「これからも大和ハウスグループが、世の中に必要とされる企業となるよう、また創業者の夢である『創業100周年(2055年)時に売上高10兆円の企業グループ』となるよう、切望する」とのコメントを寄せた。

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