神奈中バス死亡事故、元運転手に禁錮4年求刑 横浜地裁で論告、視界のぼやけ自覚「事故予想できた」

事故で大破した神奈川中央交通の路線バス(右)=2018年10月、横浜市西区

 横浜市西区で2018年10月、神奈川中央交通(神奈川県平塚市)の路線バスが乗用車に追突するなどして乗客5人が死傷した事故で、自動車運転処罰法違反(過失致死傷)の罪に問われた同社バス運転手の被告(51)=横浜市戸塚区=の論告求刑公判が26日、横浜地裁(橋本健裁判官)であった。検察側は「極めて自己中心的で職業運転手としてあるまじき行為」として、禁錮4年を求刑した。判決の言い渡しは6月19日。

 検察側は論告で、被告が約15年前から視界のぼやけを感じた後に意識喪失に陥る症状を複数回経験していたと指摘。事故直前に視界のぼやけを自覚していたことも踏まえ、「運転をすぐに中止しなければ、事故を起こす恐れが高まっていることを想定できた」と主張した。「被告は事故直前にマイクスイッチを操作しており、ブレ-キをかけることは可能だった」とも述べ、安全にバスを停止することは可能だったとした。

 弁護側は「視界のぼやけは感じていたものの、通常の疲労でも生じる範囲内のもので、以前に起きた意識障害を思い起こすことは難しかった」と反論。正常な状態から急激に状態が悪化したため、事故の回避も不可能だったとした。

 被告は最終意見陳述で「本当に申し訳ありませんでした」と謝罪した。

 起訴状などによると、被告は18年10月28日午後9時15分ごろ、体調不良で前方注視が困難な状態だったにもかかわらず、同区桜木町4丁目の国道16号で路線バスの運転を続けて意識を喪失。道路左側のコンクリ-ト柱や信号待ちの乗用車に衝突し、乗客の男子高校生=当時(16)=を死亡させ、男女4人に重軽傷を負わせた、とされる。

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