NTT、センシングデータをリアルタイムに統合して未来予測を行う「4Dデジタル基盤」の研究に着手

Society5.0等で提唱されるサイバー・フィジカル・システム時代では、多様なソースからデータを収集して、それらをデジタル空間上で統合や蓄積、分析を行うことで、様々な社会問題の解決や、新たな価値創造が出来ると考えられている。日本電信電話株式会社(以下、NTT)の「デジタルツインコンピューティング」構想でも、実世界でのモノ・ヒト・社会に関する高精度なデジタル情報を交換・融合・複製・合成等をすることで、大規模で高精度な未来の予測・試行や、新たな価値をもった高度なコミュニケーションの実現を目指している。しかし、既に統計化されたデータ同士の連携や、位置・時刻情報にズレがあるデータ同士のマッチングでは、未来予測の精度が高まらないため、センシングデータをリアルタイムに収集し、その位置・時刻を高い精度で一致・統合させることが社会実装に向けた課題として挙げられている。そこで、NTTは、多様なセンシングデータの位置・時刻情報を、リアルタイムに高精度空間情報に精緻に統合し、多様な産業基盤とのデータの融合や未来予測を可能にする「4Dデジタル基盤」の研究開発に着手した。4Dデジタル基盤では、高精度で豊富な意味情報を持つ「高度地理空間情報データベース」上に、多様なセンシングデータをリアルタイムに統合し、高速に分析処理を行うことで、未来予測に資する4Dである緯度・経度・高さ・時刻データを提供する。

1. 4Dデジタル基盤の位置基点となる高度地理空間情報データベースの整備

    • 地図事業のデータ/ノウハウを活かした、既存の地図データの位置の更なる高精度化
    • インフラ管理事業でMMS(Mobile Mapping System)等の活用による道路を中心とした高精度3D空間情報の整備

2. 位置・時刻が高精度なセンシングデータのリアルタイム収集

    • 都市部での測位・時刻同期精度を高めるスマート・サテライト・セレクション®※3等の技術と、5G等の高速/低遅延通信による、精度の良いセンシングデータのリアルタイム収集
    • マッピング技術を用いた高度地理空間情報データベースへのセンシングデータの精緻な統合

3. 膨大なデータの高速処理と多様なシミュレーションによる未来予測

    • 高速時空間データ管理技術による動的オブジェクトから大量に送信される情報の高速検索、及び分析
    • AI技術による最適化シミュレーション・未来予測と行動変容

4Dデジタル基盤は、様々なセンシングデータの位置・時刻情報の整合性を確保しながら空間情報上に統合し、各産業のICT基盤が持つデータと融合させることが出来る。これにより、移動体の正確な位置の把握や、様々な未来予測ができるようになる。

NTTでは、4Dデジタル基盤を2021年度以降に順次機能の実用化を目指すとともに、2020年度から「高度地理空間情報データベース」の構築を株式会社ゼンリンと共同で開始する。また、インフラの維持・管理基盤の整備をエヌ・ティ・ティ・インフラネット株式会社と、オフィスビル・街区マネジメントの実証実験をNTTアーバンソリューションズ株式会社と、社会基盤としてのソリューション展開に向けた実証実験を株式会社エヌ・ティ・ティ・データと、それぞれ2020年度から共同で実施する。

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