旭化成、賃貸住宅の防災仕様標準化に注力

旭化成ホームズ(東京都千代田区)は、同社の賃貸住宅の防災仕様「へーベルメゾン・防災パッケージ」の販売に注力している。専有部や共用部の備蓄スペース確保や家具固定が可能な壁のほか、太陽光発電システムや蓄電池も搭載。賃貸住宅の防災仕様標準化を目指す。

入居者の居住スペースである専有部に備蓄品用のパントリーのほか、転倒の恐れのある家具をまとめて収納するスペースを設置する。感震ユニット付き分電盤や取り外しができるフットライト、飛来物から守る窓シャッターも用意。さらに下地を入れた壁で、ねじ止めプレートによる家具固定もできるようにした。クロスの交換など原状回復に伴う費用負担については管理会社である旭化成不動産レジデンスが当面負担する。共用部のエントランスには懐中電灯や水タンク、工具なども入れた防災備蓄倉庫も設置する。

さらにエネルギー対策の実施も可能。共用部向けに太陽光発電2kWや6.5kWhの蓄電池、エントランスには通常時から防災情報が掲示されるサイネージや、非常用コンセントも設置する。停電時には蓄電池から共用部に電力を供給し、電灯やサイネージ、オートロックの機能を維持し、非常用コンセントも使える。太陽光発電システムから蓄電池の充電も行う。このほど東京都江東区で竣工した物件は、水害の恐れもあり2階に防災備蓄倉庫と蓄電池を設置した。

通常の賃貸住宅から230万円程度のプラスだが、月賃料で2000円程度の上乗せが見込める。旭化成ホームズでは2019年の発売から約50棟を受注。コスト以外に家具固定の原状回復や備蓄品の管理など、このような取り組みの普及には課題が多いという。地主への働きかけを強め、防災仕様の採用が当たり前になるよう、標準化を推進していくという。地主も一緒に生活する、賃貸併用住宅は提案がしやすいとみている。

共用部には防災情報を流すサイネージも設置している

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