阿蘇、世界遺産へ再挑戦 熊本県と地元自治体

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阿蘇カルデラの世界文化遺産登録に向けた提案書を文化庁の中岡司次長に提出する佐藤義興阿蘇市長(右)と草村大成高森町長(左)=26日、文化庁

 熊本県と阿蘇郡市7市町村は26日、「阿蘇カルデラ」の世界文化遺産登録に向けた提案書を文化庁に提出した。2008年に国内候補入りを逃して以来、2度目の挑戦となる。評価基準となる「顕著な普遍的価値」を定義し直し、カルデラ内での農耕や火山信仰など、火山と共生する人々の営みで形成された壮大な文化的景観と位置付けた。

 文化庁を訪れた佐藤義興阿蘇市長は提出後、「阿蘇の素晴らしい歴史や草原を守る営みは世界に発信する価値がある」と国内候補入りに意欲を示した。

 提案書によると、構成資産は中央火口丘やカルデラ、草地、湧水、豊後街道、阿蘇神社など。中でも東西約18キロ、南北約25キロに及ぶカルデラについて「世界最大級かつ明瞭な形状」と価値を強調。全域を耕作地や草地として利用し、野焼きなど人間の関わりで維持されてきたとした。火山信仰や農耕祭事も火山の「精神的利用」と位置付けた。

 県と7市町村は、07年に草原景観に力点を置いた提案書を提出したが、文化財の法的な保護措置などで改善を求められ、08年に国の文化審議会で国内候補となる国連教育科学文化機関(ユネスコ)の暫定リスト掲載が見送られた。このため、構成資産の文化財指定や有識者による学術的価値の再検討を進めていた。

 文化庁によると、世界遺産登録の前提となる暫定リストに記載された国内の文化遺産は6件あり、「現時点で公募はしていない」としている。(並松昭光)