「自業自得」… 3歳女児殺害から9年 また荒れたネットの声 遺族に寄り添う「重み」再認識

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清水心ちゃんが大好きだったドキンちゃんの縫いぐるみと遺影。右は熊日の記事に書き込まれたヤフーのコメントの一部

 「3歳の子供ほったらかして買い物に夢中だったんだろうなw ある意味共犯といってもよい」「自業自得感半端ないですね」

 熊本市のスーパーで9年前に殺害された清水心[ここ]ちゃん(当時3歳)の事件に関する大型記事が3月4日付の熊日朝刊に載った。記事はヤフーにも転載され、1日足らずで千件以上のコメントが寄せられた。多くは心ちゃんの両親への励ましや事件の再発防止を願うものだったが、冒頭のような心ない言葉も少なくなく、荒れた(当時のコメントは現在は閲覧できない)。

 記事は事件当時から取材する別の記者が、心ちゃんの“小学校卒業”に合わせて書いたが、私も2016年の七回忌を取材して以来、3月3日の命日には毎年、「私にできることを」と個人的に法要に参列させてもらっている。亡き娘を思い今も涙する父親の誠一郎さん(48)と母親の真夕さん(47)を知るだけに、二人を責めるコメントを読むのがつらかった。

 事件当日、誠一郎さんが買い物袋に詰めている最中、「トイレに行っていい?」と言い出した心ちゃん。止めても「どうしても今行きたい」と言って聞かなかった。トイレまでは15メートルほど。角を曲がるところまで見届け、すぐに後を追った。そのわずかな間で命を奪われた。通い慣れたスーパーであり、両親が責められるべきではないのは明らかだろう。

 なのに、事件直後にもネット上には同様のコメントがあふれた。「ネットでのコメントは匿名での安心感やスマホから簡単に送れる手軽さから攻撃性が増す」とICT教育コンサルタントの田中康平さん(44)。

 9年たって、また同じことが繰り返された。だが、真夕さんは「事件直後に比べれば、温かいコメントが多かった。私たちが非難されても、むしろ反面教師として行動してもらえるならそれでいい」と前向きに話す。

 コメントには「遺族をさらし者にするな」などとのマスコミ批判もあった。私も被害者の傷を広げてしまわないか恐れながら取材している。そんな私に、事件についての講演活動を続ける誠一郎さんは「犯罪がなくなるよう被害者の声を発信したい。そのためにもメディアの力が必要」と励ましてくれた。

 「寄り添う」。その一言がどれほど重いものなのかをあらためて考えさせられた。一過性の報道ではなく、取材した人たちとともに歩む地方紙の記者でありたい。(編集三部・中村悠)