河井案里議員に適用か?連座制って?百日裁判ってなに?

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昨年の参議院広島選挙区で当選された河井案里氏が、自らの公設第2秘書が公職選挙法違反(買収)の罪で起訴されたことを受け、連座制の適用により当選自体が無効となる可能性が浮上しています。

私自身も選挙経験者であり、公職選挙法の決まりの複雑さは理解していますし、やってはいけないこともそれなりに分かっているつもりです。その上で、今回の件を見ていきたいと思います。  

直接、河井氏が連座制の適用の可能性をいわれることになったのは、車上運動員14人に法定上限を超える報酬を払ったとして、起訴された現在の秘書が「組織的選挙運動管理者」に当たるとされたことによります。

「組織的選挙運動管理者」とは、『候補者や立候補予定者と意思を通じて、組織により行われる選挙運動において、当該選挙運動の計画の立案もしくは調整または当該選挙運動に従事する者の指揮もしくは監督などの他当該選挙運動の管理を行う者』を指します。

これは、選挙運動全体の計画を立てる人がそれにあたるのはもちろん、ポスター張りの計画や指示、選挙カーや選挙運動従事者への弁当の手配を行う人など後方支援者も含む、とされています。今回の秘書は、車上運動員、いわゆる「ウグイス」さんの調整役事務を担当し、その報酬にも深くかかわっていた疑いがもたれています。  

でも、それでは「河井さん、直接関係ないんじゃない?」と思われる方に、「連座制」の説明が必要となります。連座制の必要性が強く叫ばれたのは、40年以上前の1974年の参議院議員選挙にさかのぼります。

この年、行われた「第10回参議院議員通常選挙」で全国区から出馬した糸山英太郎氏が当時32歳の若さで当選を果たしますが、選挙直後に大規模な選挙違反が発覚します。

連日、メディアを騒がせる事件となり、結局、選挙対策本部長をはじめ142人が逮捕、1287人が検挙されたのですが、この当時の法律では、候補者本人がその行為にかかわっていなければ、当選無効や立候補制限が課せられるようにはなっていませんでした。そのため、糸山氏は1980年の任期満了まで参議院議員を続けました。  

この事件を契機として、連座制の強化がいわれ、1994年の公職選挙法改正で大幅に改正がなされます。今回、いわれている「組織的選挙運動管理者」や秘書などが加わったのはこの時です。この改正を『拡大連座制』と改正当時は、呼びました。この組織には、政党などに限らず、同窓会や町内会も含まれており、地方選挙などの組織作りでも甘く考えては、候補者が大変なことになる可能性がある制度となっています。  

『拡大連座制』が施行されて以後、これまで、当選者では2001年の参議院選挙・比例区の高祖憲治氏(自民党)、2003年の衆議院選挙・埼玉8区の新井正則氏(自民党)、同選挙・宮城1区の今野東氏(民主党=当時)、同選挙宮城2区の鎌田さゆり氏(自民党)、それに最近では2012年衆議院鹿児島2区の徳田穀氏(自民党)らがいますが、本人も逮捕された新井氏なども含め、連座制が適用になる前に、議員辞職される方がほとんどです。  

今回の河井氏は「議員を続ける」と訴えている、と伝えられていますが、今後、広島地検が3月24日に広島地裁に、河井氏の第2公設秘書に対して申し立てた「百日裁判」の成り行きが焦点となります。初公判は4月22日までに行われる見込みで、裁判の迅速化が図られる「百日裁判」とあって、7月1日までに一審判決が出されることになる形となります。

刑事裁判で、第2公設秘書が「組織的選挙運動管理者」と認定され、禁固刑以上の有罪が確定すれば、それから30日以内に河井氏の当選無効を求める行政訴訟が行われる見込みとなっており、検察側の勝訴が確定すれば河井氏の当選は無効となり、失職する運びとなります。  

都道府県会議員レベルの選挙に出て当選経験のある私ですが、正直「私の声って、高いのよ」と、暗に法定以上の報酬を求めるプロの「ウグイス」さんの声、を聞いたことはあります。私が選挙で、有料の「ウグイス」さんを雇わなかった理由のひとつに、それがあったのも事実なのです。

ましてや、国政レベル。いろんな形で、候補者や陣営に声が掛かったり、逆に声をかけたり、が、あるのではないか、と推測(あくまで推測です)はできます。

「連座制」が、本人に及ぶような改正となった元、といわれる前出の糸山氏のような、ある意味、豪快な違反は分かりやすいのですが、今は、候補者自身も「え、これがそうなるの?」が多いのは確かではないか、と思えます。

(オフィス・シュンキ)