ポージーとモリーナはどちらが上? MLB公式サイトが特集

メジャーリーグ公式サイトでは、オープン戦が中止、レギュラーシーズンが開幕延期となり、試合がなくなった期間を利用して様々な企画を行っている。アンソニー・カストロビンスは、球界を代表する名捕手であるバスター・ポージー(ジャイアンツ)とヤディアー・モリーナ(カージナルス)の2人を比較し、どちらが優れたキャリアを送っているかを分析。ちなみに、カストロビンスがTwitterで行っている投票では、得票率56%のモリーナが同44%のポージーを上回っている(日本時間3月27日13時時点)。

まずは、将来の殿堂入り候補である両者のキャリアを比較してみよう(ポージー/モリーナの順)。

年齢:33歳/37歳
デビュー:2009年9月11日/2004年6月3日
MVP:1回/0回
オールスター選出:6回/9回
ワールドシリーズ制覇:3回/2回
シルバースラッガー賞:4回/1回
ゴールドグラブ賞:1回/9回
プラチナグラブ賞:0回/4回
bWAR:41.8/40.1
fWAR:52.7/54.0
守備WAR:10.1/25.0
DRS:121/169
捕手出場:987試合/1947試合
通算打率:.302/.282
通算出塁率:.370/.333
通算長打率:.456/.405
OPS+:128/98
通算安打:1380/1963
通算本塁打:140/156
通算二塁打:270/379
通算打点:673/916
通算四球:484/507
通算三振:634/782

ポージーは、本格的なルーキーイヤーとなった2010年に打率.305、18本塁打、OPS.862の活躍を見せ、新人王に選出されただけでなく、サンフランシスコ移転後初となるワールドシリーズ制覇に大きく貢献。翌2011年は危険なタックルを受けて負傷し、シーズンの大部分を棒に振ったものの、2012年には打率.336、24本塁打、OPS.957という自己最高のシーズンを過ごし、MVPに輝いた。この年に記録したWAR10.1(FanGraphs版)は捕手のメジャー記録となっている。

2012年と2014年にもワールドシリーズ制覇を経験し、通算3度の世界一はモリーナを上回っている。通算の打撃成績を見ても、モリーナより優れた打者であることが一目瞭然である。

一方、守備面ではモリーナのレベルには達していない。また、30代後半に突入しても元気に正捕手を務めているモリーナとは対照的に、ポージーは直近2年間で衰えが顕著に見られるようになりつつある。さらに、身体への負担を考慮して一塁手として出場するケースも多く、捕手としての出場試合数でも年上のモリーナを下回る水準が続いている。守備面や耐久性の評価では、モリーナに及ばない。

モリーナは、16シーズンのキャリアでポストシーズンに10度出場し、リーグ優勝4回、ワールドシリーズ制覇2回の実績を誇る。ポストシーズンでの出場試合数はナ・リーグ史上最多となっている。残念ながらモリーナの「存在感」や「チームメイトに与える安心感」のようなものを正確に表す指標は存在しないが、カージナルスにおけるモリーナの存在の大きさは誰の目にも明らかだろう。

通算盗塁阻止率は40.2%に達し、2002年以降のデータが残っているDRS(守備防御点)では、エイドリアン・ベルトレイの202、アンドレルトン・シモンズの193に次ぐ169をマーク。捕手としてモリーナより多くのゴールドグラブ賞を受賞しているのは、殿堂入りの名捕手であるイバン・ロドリゲス(13回)とジョニー・ベンチ(10回)の2人だけである。ポージーほどの打撃力はないものの、打率3割を5度記録しており、打率.315の2012年と打率.319の2013年には2年連続でMVP投票の4位以内にランクインした。

ただし、モリーナはポージーより700試合以上も多く出場しているにもかかわらず、打撃面で大きく劣るため、通算WARはポージーと同水準に過ぎない。攻守両面でハイレベルな実力を持つ好打者であるポージーを取るか、守備力と耐久性でポージーを上回り、「扇の要」として圧倒的な存在感を持つモリーナを取るか。「捕手」として何を重視するかによって、意見は分かれそうだ。

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