さよなら、テレジア先生! 最後の授業は「集合写真」をスマホでキレイに撮る方法

春爛漫! 出会いと別れの季節…。ここからまた新しい一年の始まりです。
この一年、しっかりスマートフォンカメラに慣れ親しんだあなたは、すっかりみんなの人気者…のはず。さらなる高みを目指して、2020年度もしっかりと「映える」写真を撮っていきましょう。

集合写真は“並び方”で決まる!

さて、歓送迎会での集合写真。単品ではかわゆいあの子たちも、集団になるとなんだか怖い(笑)。
しかし恐れずにパシャ!
早速、写真フォルダを確認すると、あれれ? 自分に頼む前に誰かに頼んだらしき痕跡を発見…。

なるほど、誰かに撮影してもらったものが気に入らなかったから、あなたにお声がかかったわけですね。
しかし、この出来栄えではそれも仕方なし。
画面いっぱいに人が配置されていて、上部に顔が来ている。おまけに隅っこへ向かって顔面がビョーンと伸びきっている。まぁダメダメですね。

「両側のかわゆいあの子たちなんて、ちょっと大きいだけなのに、輪をかけてでっかく見えるな…」などと失礼なことを考えていると、どうやら本人たちもそう思ったらしく、並び順を交代しています。

体格は違えど、やはり両サイドにいる人は伸びてしまい、さらには実物よりも太って見えています。
おまけに顔面が上にあるため、顔が伸びているのに比例して体は小さめに見えてしまい、なんとも巨顔に…。

今まで修行を積んできたあなたなら、一瞬で数々のNGポイントを確認できるはず。前に撮った誰かさんへ、心の中で合掌しながら自分のターンだハイチーズ。

「というかなんでチーズ?? イ行だと笑顔になるからと聞いたけど、最後はウ行じゃないか! これしゃみんな酸っぱい表情になってしまう」などと、物凄くどうでもいいことを考えるくらいには余裕のあなた。

並び順を入れ替える指示も出し「広めに撮っといたからあとでトリミングしてね!」という一言も添えて、エレガントに任務完了です。

ただ…。悪くない出来ですが、どうしても単調になりがちな集合写真なので、ちょっとつまらないというか、普通すぎるかもしれません。

ならばと、ここで一手間加えてみましょう。

横並びだと両端の人が太って見える犠牲率高めです。それを解決するためにも、あえて「並ばない」という選択があります。
空いているところにうまく入ってもらう感じで、撮る側が指示していきましょう。

どうでしょうか? 並ぶとどうしても上の方に余白が空いてしまうし、寄って撮ると顔面が伸びてしまうことが多くなるのですが、こうして余白にうまく人物が入る配置だと、動きが出て、いわゆる面白い写真に見えるのではないでしょうか。多人数を撮るときには、ぜひ試してみてくださいね。

ビューティアプリの魔法に惑わされないで

「ビューティアプリには勝てないところがあるんだよなぁ…。というか、写真によっては実物の方が可愛いと思える時もあるし」…というのは、最近の撮影会カメラマン諸兄から聞こえる嘆きです。

撮影会で撮った写真を相手がSNSへアップする時には、当然の如くビューティアプリによって補正されてしまうご時世。使用アプリによっては、加工するたびに解像度が落ちてぼやぼやした出力になることもしばしばあります。カメラマンからすると、「自分なりにお肌も修正していたのだけど…。せっかくの労力が」と思わざるを得ませんよね。

さらには、アプリの存在を知らない人もまだまだいるため、「いつもあの子が自分で撮ってるように可愛く撮ってあげられないんだよなぁ」と、不可能なことで悩む人まで出てくる始末。私はカメラマンの皆さんやレタッチャーさんの気持ちもわかるので、気の毒でなりません。しかし! しかし?? もうこれは仕方ないと諦めてください(笑)。

彼女たちは自分のSNSが履歴書であり、ブランディングにおける最重要ツール。二日酔いでちょっとむくんだ顔面をシュっと細く! 目はぱっちり大きく! この写真ちょっと笑い方失敗して鼻が膨らんでるから小鼻をサクッと小さくしてしまおう!…などなど、それはもう自然に、流れるように自分の顔を整えていきます。

過去記事でもお伝えした様々なビューティアプリは、アプリや使う人の設定によってかなり仕上がりも使い方も変わります。パラメーターを細かく設定することで、目の大きさ、顎の長さ、鼻の形、メイクの濃さまで、細部に渡って自由に自分のこだわりに合わせて、顔かたちを変えられるのです。

一度設定を済ませれば、まったく同じ比率の“いつもの顔”で写真を撮れる時代。動画でもそのまま使えるのだから、驚きです。ネットで顔をさらすことの多い現代には、とてもありがたいツールなのです(やりすぎると別人になっでしまい、実際会った時に気付いてもらえないという事件も多発していますが…)。

今回出てくれたかわゆいあの子たちは、普段ビューティアプリを使わない派、使っても気になる時に肌を整えるくらい…とのこと。自分の顔に満足しているわけではないけれど、鏡に写る見慣れた顔と変わってしまうのがなんとも落ち着かないのだとか。そう聞いて、「みんな! そんなのだと正直者すぎて損をするぞ!」と思う私(笑)。

なので、今回は特別に自分が一番可愛く見える…だろうと思うパラメーターで、加工してもらいました。
すべて同じ環境で私が手を伸ばして自撮り。よくある集合写真で比較します。

使用アプリはFiuFiu、BeautyCam、B612、Beautyplus、ULIKEなどなど。他にもまだまだたくさん種類がありました。どのアプリで加工したか、最終的な仕上がりを見てわかる人っているのでしょうか。世界中探せば結構いそうなのが怖いですよね(笑)。

ちなみにこの作例は、よくある「あれっ? この写真、推しのあの子がいつもと違う顔に…」という現象が起きがちな構図とも言えます。顎を引いて上から撮る構図が多いのは、目が大きく、顎が小さく、小顔に見えるからなのですが、ポーズでカバーしようとしても、顎をひきすぎると二重顎になりがち。結構加減が難しいのです、この構図は。普段あの子がSNSにアップしている写真を観察して、同じように修正して渡せば好感度もあがる…かもしれませんよ。

さよなら、テレジア先生!

最後にちょっと残念なお知らせです。なんと、一年間続けてきたこのコーナー、「テレジア先生の部屋」は今回で最終回を迎えることになりました! 皆様と苦楽を共に、季節を重ねて歩んでまいりましたが、様々な知識を得たあなたなら、もう私がいなくてもきっと大丈夫! この一年間、ありがとうございました。別れの次は出会いがある…はず。皆様、またどこかでお会いしましょう。皆様の幸せを祈って…。強く生きろよ、グッドラック!

撮影協力: キシコ @kishico/須永ちえり‪@cherry2_s/RINKO ‪@rinko_mac/Photoplus撮影会 ‪@xxPhotoPlusxx
撮影場所: RIG ‪@RiG_roppongi

テレジア先生への公開質問

奥さんに、インスタを友達限定公開に変更しなさいと言われて悩んでいます。子供の写真を投稿するならそうしてと。自分としては、友達にすべき投稿はプライバシー設定しているフェイスブックで、公開しても問題ない投稿はインスタでと使い分けているつもりなんですが、SNSに全く何も投稿しない彼女とでは、「公開しても問題ない情報」のレベル感に違いがあるようです。一旦は奥さんの言う通りにするつもりですけど、このままSNSの使い方を監視されるのはちょっと嫌だなぁとも感じます。(40代・会社役員)

これまたSNS時代らしいお悩み…。しかし、これがかつての「いまどこにいるの何してるのだれと会ってるの」的な電話&メール攻撃と変わらないくらい苦痛なのには変わりありませんよね。今回は奥様から旦那さんへの監視ですが、仮に親でも恋人でも友達でも、さらには赤の他人でも、自分の行動を監視されるのは精神的に落ち着かないことと思います。

でも、これは難しい。「子どもの顔をSNSに載せる」というその行動1つとっても、人の数だけ価値観があります。子どものこととなると、2人の子育て哲学にも関わってきますから、隔たりが大きいと引くに引けないですよね。

奥様の心配も分かるのです。子どもの顔をSNSに載せて、偶然危険な人物に目を付けられ、さらには居場所を突き止められて、事件に発展する…なんていうことがないとは言い切れない世の中です。一方で、「この一瞬しかない可愛さをみんなに見て欲しい!」という、相談者さんの気持ちも分かるのです。

まず根本的なところですけど、話し合い、少しはされたのかしら?

赤の他人のストーカー監視とは違って、毎日顔を合わせている夫婦ですから、話す時間を持つことはできるはずです。面倒くさがらずに、キッチリ話し合いを持ちましょう。“SNSは見る専門”の人にありがちですが、“発信する専門”の人が多くのSNSを用途別に使い分けしていることすら、理解できていない場合もあります。

それぞれにどんな機能があるか、ましてやそのツールを使って仕事をしていることなど、イメージできない場合は多いでしょう。

Instagramであれば拡散機能自体ありませんし、「ハッシュタグでカテゴリー分けしたものを第三者が見にくる」という機能を使わなければ、自分が選んでつながっている人にしかその投稿は“ほぼ”見られないでしょう(これがインスタの難しさでもあるけれど)。とはいえ、相談者さんがいいねをした通知から、赤の他人がアカウントを見にくることもあり得ます。いずれにせよ、こうしたSNSによる機能差を意識して使いえ分けできている人の方が、少ないのは間違いありません。ですから…。

①そのSNSの機能を理解しているか
②どういう思考で自分がそのSNSを使用しているか

この2つに焦点を当てて、奥様に説明されてみてはいかがでしょうか。その上で、再度どのように考えるか聞きつつ、折り合いを見つけてみてください。

相談者さんは「会社役員」ということなので、SNSでの投稿を活用することで、フォロワーであるクライアントさんや仕事関係の方に、自分の近況を伝えているという側面もあるのだろうと推測します。実際、仕事であった時に話題で困らないなど、直接的な仕事につながらなくとも、便利に使えるビジネスコミュニケーションツールである…という側面があるわけです。奥様にも相談者さんの使い方を理解してもらえるといいですね。

ただ、ひっかかるのが「一旦は言う通りにする」というところ。

一時的に対応して、後々また奥さんに内緒でアカウントを公開したら、さらに大きな怒りを買うのは間違いありません。私はそれが心配です。
これを機に、お互いの思っていることをとことん話す機会をもたれた方がいいと思います。

子どもの顔をSNSで晒すのは、事件に巻き込まれる危険性がある。奥様のこの意見は正論ですが、ひょっとしたらもっと深いところに、「嫌だ」と感じている理由があるのかもしれません。

これは私個人の意見ですが、夫婦であっても友達であっても恋人であっても赤の他人であっても、“正論風”で感情をぶつけられる言い方をされるのが苦手です。しかも、その人がSNSを使いこなしていないとなればなおさらのこと。知らないのに意見してくること自体に「わーなんかイメージで感情ぶつけてきてるー!」とがっかりした気持ちになってしまいます。

この場合、言及されるのがお子様の写真を載せることに関してのみの意見で、ほかに関しては自由ならば、子どもに関する写真についてだけ、詳しく具体的に「顔が正面を向いてるものはダメ」とか「動画はダメ」「顔の一部をスタンプで隠していればOK」など、お互いのルールを決めていくといいでしょう。それぞれの妥協できるところを探していくしかありません。相談者さんはそれをせずに、「はいはい」と流そうとしている感じがすることに、不安を覚えますね…。

家族、友達、恋人…人間関係全てにおいて、個人が大事に思うこと、楽しいことには差があります。その違いを理解して、穏やかに話し合えたり、SNSやインターネットにおいては発信できる世の中になればいいなと、切に願っています。

※老若男女問わず、撮影に関する人間関係のお悩みを随時募集! 写真が好き、撮影会が好きな皆さん。ここはあなたの心の保健室。個人が特定できないように配慮いたしますので、私のTwitterアカウント(https://twitter.com/red_theresia)にDMで気軽に質問ください。

テレジア

京都市立芸術大学 デザイン科卒。モデル兼コスプレーヤー、レタッチャー、たまにウォーキング講師。元準ミス日本。デザイン・アートの造詣と、プロモデルとしての現場経験を兼ね備え、ライティングや人体構造、色彩設計などを考慮したレタッチを得意とする。高校美術工芸教職免許を持ち、非常勤講師経験あり。

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