《あにめたまご2020》完成披露特別無料配信開催中!

©株式会社クラップス

《あにめたまご》なるプロジェクトをご存じでしょうか?

これは日本のアニメーションの振興と発展を目的とし、将来を担う優れたアニメーター等を育成するため、平成22年(2010年)より開始した文化庁委託事業「若手アニメーター等人材育成事業」の総称です。

簡単に申せば、文化庁の主宰で若手アニメーターを育成していこうというもの。

具体的には、日本国内のアニメーション制作会社からオリジナル短編アニメの企画を募集し、選出された各スタジオ(毎年3~4団体)で若手アニメーター(大体6~8人くらいで、平均するとキャリア3年くらいの若者たち)はおよそ3か月間の原画・動画作業期間、監督や原画指導など業界の先輩たちから直接指導を受けながら実制作していきます。

またトータルで5日間ほどの若手育成講座が設けられ、アニメ業界はもちろん、演劇など他ジャンルの識者も講師に迎えての授業を受けたり、宿題を与えられたりもします。

このプロジェクトは2010年に《プロジェクトA》というネーミングで始まり、続いて《アニメミライ》、そして現在の《あにめたまご》とその名を改めながら続き、今回の《あにめたまご2010》で10回目を迎えます。

出来上がった作品は、ここ数年は3月の完成披露上映会の場で発表され、その後テレビ放映などされていくのが常となっています。

実は今年も3月14日に完成披露上映会が催され、3作品が上映される予定でしたが、折しも世界中を席捲する新型コロナウイルス感染症拡大防止の観点から、やむなく中止。

しかし……

《キネマニア共和国~レインボー通りの映画街452》

やはりどうにかして完成した作品を広く一般の方々にお見せしたいという想いから、今回は《あにめたまご2020完成披露特別配信》と題して、何と無料配信という形でお披露目することになったのです!

それぞれユニークな企画で贈る

《あにめたまご2020》3作品

まずは今回配信される《あにめたまご2020》3作品をご紹介していきましょう。

●『オメテオトル≠HERO』

(制作会社:SPEED INC.)

様々な星の種族が入り混じっていった結果、生態系がマシン化する一方、大自然の動植物が排除されていった未来の地球で、絶滅したはずの華魔族が世界を森で覆いつくすべく樹木化テロを遂行。

そのころ、18歳の誕生日を迎えたヒーロー族のユーキは、ヒーロー族の父と華魔族の母から生まれた子であることを知るとともに、両方の力が一気に覚醒してしまいます……。

タイトルの『オメテオトル』とは、アステカ神話の創造神の名で、“二面性の神”、即ち対立する二つの要素を兼ね備えた完全なる存在を意味しています。

ここでの主人公も善とも悪とも言い切れない相反する要素を兼ね備えた存在で、『デビルマン』などとも共通する世界観が感じられるとともに、3DCGセルルックで構築された映像はアメコミ・アニメを日本で制作したかのような不可思議な味わいがあります。

●『レベッカ』

(制作会社:株式会社ベガエンタテイメント)

舞台は19世紀末のアメリカ、メイン州の田舎町。7人兄弟の2番目で明るく元気な10歳の女の子レベッカは、父親が急死して家族が生活に困窮していく中、やむなく伯母のミランダとジェーンのもとに預けられることになりました。

しかしミランダは何かとレベッカに厳しくあたり、レベッカもまたミランダの前では委縮しがち……。

そんなある日、レベッカはジェーンが作ったピンクのドレスを勝手に着て外に出たことをミランダに咎められ、そのとき亡き父のことを侮辱されたことに憤って家を飛び出してしまいます……。

往年の『世界名作劇場』を彷彿させる作品で、昭和のオールド世代には懐かしく、今の若い世代には新鮮に映えること必至。

どことなく翌週に次の回を見たいと期待してしまうような、そんな味わいの作品です。

●『みちるレスキュー』

(制作会社:ゆめ太カンパニー)

宇宙空間を飛ぶ赤黒い光球と、それを追いかける青、黄、銀、紫の光球。やがて青い光球が地球に落下し、少女みちるの眠る部屋の中へ。

一方、赤黒い光球も地球に現れ、少年のシルエットに姿を変えて、違法飼育者が飼うメジロを増殖させていきます……。

光球の正体は高次宇宙生命体で、悪しき赤黒い光球を追う正義の光球たちは、ぬいぐるみのライオンやおもちゃのロボット、ピエロのやじろべえに乗り移って事態に対処していきます。そして彼らと共闘する羽目になったみちるは……。

宇宙生命体が擬態していく設定から『ウルトラマン』や映画『ヒドゥン』などを思い浮かべる映画ファンも多いことかと思われるSF作品ですが、基本はほのぼのテイスト。

ヒッチコックの『鳥』さながら人間を襲うメジロの大群の、実は悲痛な心の叫びを聞いたヒロインの健気な想いと勇気が、シンプルに見る者に伝わってきます。

岩田光央&平野文・司会の

スタッフ・トークも必見!

完成披露配信の司会は、人気ベテラン声優の岩田光央&平野文が務めています(もともと両名は完成披露上映会の司会として予定されていました)。

作品配信の合間には各作品のプロデューサーと監督を招いてのトーク・コーナーも設けられており、それぞれの見どころや苦労話などを聞くこともできます。

《あにめたまご2020完成披露特別配信》は3月27日(金)19:00から4月30日(木)23:59までの1か月強の期間、《あにめたまご2020》公式サイト から入ることで鑑賞できます。

同サイトでは、やはりこの春開催が中止となったAnime Japan2020で展示予定だった原画やサムネイルなどもWEB展示。各作品のスタッフ・インタビューも順次アップされていく予定です。

新型コロナウイルスのあおりで日本中がなかなか外に出るのも気分的にしんどくなってきている中、逆にこうした無料配信を堪能しながら、現代日本のアニメーション事情などに触れつつ、次代を担う若手アニメーターへのエールを送っていただけると幸いです。

(文:増當竜也)