新型コロナで“無観客”の公開討論 壱岐市長選・市議補選 異例の前哨戦に戸惑い…決起大会を自粛など

 新型コロナウイルス感染拡大は、4月5日に告示が迫る壱岐市長選、同市議補選の各陣営の動きにも影響を及ぼしている。感染防止のため、決起大会や集会を自粛しているほか、事務所開きの規模も縮小。市長選立候補予定者を招いた公開討論会も、壱岐での感染確認を受け、急きょ、会場に人を入れない“無観客”での開催が決まった。異例の前哨戦に、陣営からは戸惑いの声も漏れる。
 「今回は集会もあいさつ回りも難しい。今までの選挙戦とは全然違う」。現職、新人による一騎打ちが見込まれている市長選。4選を目指す現職陣営は困惑を隠せない。
 過去の市長選では告示前に集会、決起大会を開いていたが、今回は今月14日に壱岐で県内初の感染者が確認される前から自粛を決定。7日の事務所開きも規模を縮小し、出席者を約30人に絞った。「(選挙以前に)現職市長としての責任がある。選挙活動で迷惑を掛けられない」。関係者はため息をつく。告示後の個人演説会についても、開催しない方向で検討している。
 想定外の前哨戦を強いられているのは、新人陣営も同じだ。市内各地で意見交換会を重ね、浸透を急いでいた中でのコロナショック。各会場には来場者用に消毒液を置くなど細心の注意を払っていたが、壱岐でも感染者が確認され、告示前最後だった22日の意見交換会を取りやめた。
 島内でのこれ以上の感染を防ぐため、自ら住民に握手を求めることは自粛している。知名度では現職に劣るため、一人でも多くの住民と触れ合う機会をつくろうとしていただけに、関係者は「(盛り上がらなければ)投票率も下がるのでは」と懸念する。
 市議補選立候補予定者の一人も予定していた集会を中止に。影響は陣営だけにとどまらない。同市商工会青年部などでつくる実行委は、市長選立候補予定者の公開討論会を郷ノ浦町のホールで4月3日に開く予定だが、会場には人を入れない異例のスタイルで開催することにした。やりとりの様子は、ケーブルテレビで放映する方向で調整を進める。
 市選管によると、市長の任期満了(4月17日)が迫っており、選挙日程の延期は難しい。実行委の代表者は「(討論会を)なるべく市民の方に聞いていただきたいとは思うが、今回は対応が難しい。慎重にならざるを得ない」と当惑顔だ。

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