新旧交代 “その瞬間” 一夜で生まれ変わった長崎駅

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約1時間前まで使用していた旧長崎駅の自動改札機を撤去する作業員=28日午前0時29分、長崎市尾上町

 これまで多くの観光客、通勤・通学客らが行き交ったJR長崎駅は27日深夜にいったん幕を閉じ、28日早朝、西に約150メートル離れた場所で新たな歴史を刻み始めた。一夜にして“街の顔”が生まれ変わる様子を追った。

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27日午後11時7分 4代目駅舎の最後を見届けようと、鉄道ファンらがカメラを構える中、0番線に列車が到着。0番線がある駅は珍しいが、その呼称は新駅に引き継がれない。降車した男性(43)は「趣のある終着駅だった」と言い、今度は諫早へ折り返す最終列車に乗り込んだ。送別会シーズンの金曜とあって花束を抱えた乗客がちらほら。「今日が最後なの?」と目を丸くする酔客もいた。

11時23分 最終列車が出発。60代男性は目頭を押さえ撮影した。「三角屋根(の特徴的な外観で長年親しまれた3代目)の駅舎の頃からホームの風情は変わらない。毎日通勤に使って愛着もひとしお。時代の流れとはいえ寂しい」

11時42分 最後の列車が到着。女性駅員が「長年ご利用いただきありがとうございました」と放送。

28日午前0時 新駅開業までの日数を知らせる改札口のカウントダウンボードが「1」から「0」に切り替わると見物人から拍手が沸いた。改札機の撤去や券売機の移設、案内表示の修正など引っ越し作業が本格化。

2時 浦上駅そばの踏切。撤去作業を見たタクシー運転手は「おっ、もう止まらなくていいんだ」。高架区間である長崎西洋館(川口町)近くでは線路や電線の切り替えが急ピッチで進む。「めったに見られない」と腕組みした男性が敷地外から眺めていた。

5時 旧駅舎と新しい長崎駅とを結ぶ仮設通路が完成。役割を終えた複数の線路をまたぐように突貫工事で舗装し、旧3.4番線ホームも活用。

夜が明け、徐々に人の往来が増えた新しい長崎駅=28日午前6時48分、長崎市尾上町

5時半 空がまだ薄暗い中、ついに新駅が開場…。と言っても、新型コロナウイルス感染を警戒しセレモニーはない。西口に「祝」と控えめに記した入場門が置かれ、JR職員は「もっとたくさん人を呼びたいけれど」とぽつり。速足で通り抜けた一番乗りの男性(72)は「明るくて、きれい」と歩き回り、別の男性客は「これからにぎわいを呼んでくれる」と期待した。

5時47分 一番列車となる佐世保行き普通列車の始発のベルが鳴る。14日に登場したばかりの新型車両YC1系に乗り込んだ高齢女性は、座席で向き合った若い鉄道ファンと「新幹線は長崎に必要か」を巡り談議。

5時50分 砥綿陽介駅長(43)が報道陣のインタビューに応じる。「開場30分前に利用客を出迎える態勢が無事整い、ほっとした。多くの作業員の協力に感謝したい」

6時20分 特急券を握った男性が、旧駅舎から改札口が消えたのを見て「えっ!?」。慌てて仮設通路を駆けだす。新改札口まで約350メートル。ゆっくり歩くと5分かかった。

6時42分 最初の列車到着。休日に妻を連れた男性客は感慨深げだった。「通勤中の車窓から見ていた景色とは違った」