不倫の結末、うまく行っていると思ったのに現実は…36歳女性の後悔

「不倫でもいい。私が愛した人が結婚していたというだけのこと」ときっぱり言う女性がいます。それは潔いのですが、最終的に後悔する結末を迎えることもあるかもしれません。


離婚は望んでいなかった

ヨウコさん(36歳)は、6年間、既婚の彼とつきあってきました。5歳年上の彼は再婚で、今の妻との間には10歳になる娘がいます。

「知り合ったとき、私は既婚者とはつきあいたくないとはっきり言ったんです。そうしたら彼は、『結婚と恋愛は違う。オレはもう離婚したくはないけど、きみが最後の恋愛相手だと思ってる。好きなんだ。きみがいないとオレの人生は成立しない』と猛烈プッシュしてきて。大げさなことを言うんですよ。きみなしでは生きていけないだとか。でもその言葉に心動かされたのは確かです」

彼とは同じ職場でした。その後、彼はヘッドハンティングで転職、仕事のできる人だったそうです。それも彼女にとってはポイントが高かったよう。

「仕事ができる男性は魅力的なんですよね、やはり。彼にはリーダーシップもありました。人を惹きつける何かがあった」

断っても断っても「好きだ」と言い続ける彼に、徐々に心を許し、根負けする形でつきあうようになりましたが、つきあっている間はとても幸せだったとヨウコさんは言います。

「忙しい彼に時間を合わせていましたが、彼はそのこともよくわかっているようで、ときどき『いつもごめんね』とサプライズでプレゼントをくれたり、週末などは突然、夜中に『これからドライブに行こう』と誘ってくれたり。彼の出張で会えなかったときは、出張先からきれいな花束が届いたりもしました。いつでも愛されているという実感があった」

不倫でもいい、私は彼が好きと思い始めたのはつきあって2年ほどたったころだそうです。もともと結婚願望が強かったわけでもないので、仕事をしながらずっと彼と関係を続けていく人生もアリだなと考えました。

「子どもがほしいなら産んでもいいよ。オレ、認知もするし全面的に協力するよと彼は言っていました。ただ、私自身がどうしても子どもがほしいとは思えなかった」

彼との関係はちょっとやそっとでは壊れない。彼女はそう確信していたそうです。

妻に脅されて

彼は週に一度はヨウコさんのひとり暮らしの部屋に泊まりに来ていました。つきあって4年目、家をリフォームするので1週間ほど泊めてもらえないかと彼に頼まれたことがあります。

「そのとき初めて、彼が一軒家に住んでいること、しかも奥さんの両親と二世帯住宅だったことを知りました。彼の家庭のことはあえて聞かなかったんです。彼はそのことも『ずっとありがたいと思っていたけど、ヨウコはオレの大事な分身だから、もう全部話すよ』と家庭事情を聞かせてくれました。そのときは奥さんのたっての願いで家をリフォームすることになったそう。彼は仕事の関係で出社が普通のサラリーマンより遅いし不規則なんですよ。だけどリフォームは朝から始まる。睡眠不足になりそうだから1週間泊めてほしい、と」

ヨウコさんはもちろん大歓迎でした。朝は簡単な朝食を作って出かけ、夜遅くに帰宅する彼のために夕食を作って待ちました。

「あのときは新婚ごっこみたいに楽しかった。彼となら暮らしていけるんじゃないかと思ったほどです」

彼の滞在期間は結局、10日間に延長。これを契機に、ふたりの仲はますます緊密なものになっていきました。ところが3ヶ月ほど前、彼の妻から突然、彼女の携帯に電話が入りました。

「今、私の勤務先の近くに来ている、会ってくれなければ乗り込むといきなり言われました。ちょうど会議が始まるところだったので、そう伝えると『会社近くの喫茶店で待ってる』って。会議が終わってすぐ駆けつけました」

彼女が喫茶店に入っていくと、奥に座っていた女性が手招きします。おそるおそる近づくと、大柄で化粧の濃い女性でした。

「早く座りなさいよ、どれだけ待たせるのよと居丈高で。私、すっかり怯えていました。すると彼女は、『わかってるわね、あんた、人の夫をとっておいてよく普通の顔して生きていられるわね』と怒鳴るんです。周りのお客さんは興味津々で見ているし、恥ずかしくてたまらなかった」

彼女は一枚の紙を出しました。慰謝料を請求する、300万円寄越せという内容でした。

「うちの夫が全部しゃべったのよ。あんたに誘惑されたって言ってたわよって。彼が私との6年間をそんなふうに言うはずはありません。でも私は奥さんに逆らうことはできなかった。とりあえず考えさせてくださいと言って、その紙を持って立ち上がりました。すると奥さんは『うちの夫に相談しようとしてもムダよ、もう携帯も使えないからね』と高笑いしていました」

外に出て、彼に電話をかけようとすると確かに通じません。彼のほうから連絡が来るのではないかと、その晩は電話を肌身離さずもっていましたがかかってきませんでした。

「結局、私は知り合いの弁護士に間に入ってもらって200万円で示談ということにしました。彼からはまったく連絡がないまま。なんとか訴え返してやろうと思ったのですが、既婚だとわかっていてつきあっていたから、何の権利もないんですよね。せめて彼と話したいと会社の近くまで行ったんですが、示談のときに今後いっさい連絡をとらないと一筆書かされていたので、もし会いに行ったことがバレたらまたお金を請求される。貯金もはたいてしまいましたから、これ以上は払えない。結局、私だけが痛手をこうむりました。彼は一度も私と接触しようとしなかった」

あんなにうまくいっていたのに。あんなに愛し合っていたのに。その思いは自分だけが抱いていたのか。そう思うとヨウコさんは今も胸をかきむしられるような思いがすると言います。

離婚を望んでいたわけでもない、家庭を壊そうとしたわけでもない。それなのに彼女だけが痛い思いをしなければならない。それが「不倫の結末」なのです。もちろん、結末にはいろいろなケースがありますが、彼女の場合はこうなりました。そしてこういうケースは枚挙に暇がないのではないかと思われます。

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