「ポスト秋山」は金子、野手転向2年目の川越が急台頭 西武野手陣は今季も充実

西武・金子侑司(左)と川越誠司【写真:荒川祐史】

金子は3月の対外試合で38打数15安打6盗塁、打率.395をマーク

 西武のキーマン2人が好調だ。“ポスト秋山”と期待される8年目の29歳・金子侑司外野手と、投手から転向して2年目でレギュラー候補に躍り出た26歳・川越誠司外野手である。

 現在評価がうなぎ上りだけに、新型コロナウイルスの感染拡大で延期された開幕がさぞかし待ち遠しいだろうと思いきや、2人は期せずして「残念ですが、この(開幕までの)期間でさらにレベルアップできる」と同じセリフを口にした。

 金子に求められているのは、米大リーグ・レッズに移籍した秋山の定位置だった『1番センター』の継承だ。3月のオープン戦、練習試合計13試合のうち、1軍に合流したばかりの中村剛也に打席を稼がせるために1番を譲った3日の広島戦、雪が降ったほどの極寒を考慮して主力がスタメンを外れた14日のヤクルト戦を除く11試合に同スポットで出場。通算38打数15安打6盗塁で.395の高打率をマークしている。「キャンプからずっとやってきたことは間違いではなかった」と手応えを感じている。

 もともと、昨季41盗塁で2度目のタイトルを獲得した脚力と、守備範囲の広さには定評がある。残る課題は昨季.251の打率(秋山は.303)、同.324の出塁率(秋山は.392)だ。西武は昨季、「1番左翼・金子、3番中堅・秋山」の布陣でスタートしたが、金子が打撃不振で、5月9日に1番の座を秋山に“返還”した経緯がある。今季リーグ3連覇を目指す辻発彦監督も「鍵は1番」と断言。イケメン独身で若い女性に人気の高い金子だが、リーグを代表するような選手としてもうワンランク上にいけるか、分水嶺となるシーズンだ。

野手転向2年目の川越は山川に弟子入り、自主トレを一緒に行った

 一方、川越は野手転向1年目の昨季、イースタン・リーグで93試合に出場し8本塁打を放った左打ちのスラッガーだが、1軍の公式戦にはまだ出場したことがない。オープン戦最初の5試合で5割(10打数5安打)をマークしていた打率は、その後じりじり下がったが、途中出場した20日の日本ハムとの練習試合では、唯一の打席となった7回無死一、三塁で中犠飛を打ち上げ、辻監督は「少ないチャンスをものして、素晴らしい。開幕スタメン? 可能性はゼロではない」と目を細めた。開幕1軍どころか、木村や新外国人スパンジェンバーグらと外野の一角を争う存在になりつつある。

 シーズンオフの自主トレから、2年連続本塁打王の山川に弟子入り。今も時おり2人でグラウンドに居残り、交互に長いノックバットを振ってロングティーに取り組む。「いつも山川さんが声をかけてくださって、僕が付いていく形」と感謝し、「あのノックバットは特注で、長くて重い。しっかり振るのが大変ですが、いい練習だなと思います」とうなずく。自分の成長を実感しつつ、「まだまだアピールしないといけない立場」と強調。何より、新顔の台頭はチームに勢いをもたらしている。

 西武は30日に1軍のチーム練習を再開するが、現時点で4月24日に想定されている今季開幕は、なお予断を許さない。当初予定の3月20日開幕であれば、金子と川越は最高の状態でシーズンインできただろう。このまま調子を落とすことなく、本当の開幕を迎えられますように……。(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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