富士ゼロックスと奈良先端科学技術大学院大学が副作用文書分類支援システムを構築

2020年3月30日
富士ゼロックス 奈良先端科学技術大学院大学

医薬品と副作用の関係性判定で正解率90%を達成した副作用文書分類支援システムを構築
~判定根拠の抽出・可視化が容易な自然言語処理システムを開発~

富士フイルムグループの富士ゼロックス株式会社(本社:東京都港区、社長:玉井 光一)と、奈良先端科学技術大学院大学 (奈良県生駒市、学長:横矢 直和)は、自然言語処理技術*1により、医薬品と副作用との関係判定のために文書を分類する精度を高め、安全性管理業務の作業効率を向上した医薬品の副作用文書分類支援システムを構築いたしました。
製薬会社の副作用報告の対象となる日本語の医学論文に対して、このシステムを用いて行った実証実験では、文書分類精度において適合率*2(正解率)90%、再現率*3(カバー率)95%であることを実証しました(下図参照)。
3/16-3/19にオンライン開催された「言語処理学会第26回年次大会」で、同大研究推進機構荒牧英治特任准教授、若宮翔子特任助教らが副作用文書分類支援システムを発表いたしました。
*1: 人間の言語(自然言語)をコンピューターに理解させて処理するための技術。

副作用文書分類支援システムは、医療機関からの報告や医学論文など医薬品の安全性情報に関する文書を、自然言語処理技術を用いて解析し、医薬品の服用と副作用の関係性の有無とその判定根拠を抽出・可視化します。具体的には、病気や症状に関する辞書や医薬品辞書を活用し、安全性情報に関する文書から、文中の頭痛や腹痛、手足のしびれといった病名と医薬品名とその関係を抽出し、服用に伴う副作用の有無を判定します。
そして判定の根拠と考えられる文章を抽出、可視化し、さらに、過去の副作用判定で明らかになっている医薬品と副作用の関係を学習に用いることで、分類・判定精度を向上していくシステムです(下図参照)。

製薬会社は自社の医薬品が投与された結果生じる副作用などについて監視し、死亡などの重篤度に応じて、報告対象となる安全性情報の優先付けを行い、迅速に厚生労働省などの当局に届け出る義務があります。
そのため、製薬会社の安全性管理部門は医療機関からの自発報告や医学論文などの安全性情報を収集し、症状、副作用等の情報を抽出し、医薬品の服用と副作用との関係を判定し、判定結果や裏付けとなるデータは法令に基づいた所定の形式で厚生労働省などに提出します。
製薬会社は通常、限られた時間の中で人手により大量の安全性情報を処理しており、判定精度の向上と作業の効率化が喫緊の課題となっています。
今後、富士ゼロックスと奈良先端科学技術大学院大学は、副作用に関するより多くの情報抽出や判定精度の向上などにより、製薬会社や医療関係者の安全性業務の効率化や安全性情報の有効活用に寄与する実用的なシステムを開発することで新たな価値を創造し、製薬、医療業界に貢献していくことを目指します。

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