自分を犠牲に仲間を生かす バレーボール・梅本鈴太郎(鎮西学院高-中大) 「将来へのアピール」正念場の1年

「コート内外で使える選手でありたい」と練習に励む梅本=東京・八王子市、中大多摩キャンパス第1体育館

 190センチの長身を武器に活躍した吾妻中3年のころ。全国都道府県対抗中学バレーボール大会の最優秀選手に選ばれた。「そこが自分の全盛期」と苦笑いしながらも、梅本鈴太郎はここまで、各世代別の日本代表に名を連ねてきた。大学と世代別代表。それぞれのステージには、もう一つ先がある。「将来へのアピール」にもなる正念場の1年が始まった。
 鎮西学院高時代も2年連続で日本高校選抜入り。「恥ずかしいことはないだろう」とプライドを持って中大に進んだが、すぐに砕かれた。1年目はけがも重なって試合に出られず、練習も雑用ばかり。つらい日々に、退部の選択肢さえ頭をよぎった。
 先輩の励ましもあって踏みとどまり、何をすべきかを再確認。「練習しかうまくなる方法はない」。そう自らを奮い立たせて練習やトレーニングに打ち込むと、考えや体つきが変化した。戦術理解度もスパイクのスピードも上がった。2年から徐々に試合に出られるようになり、スタメンの座を獲得した。
 ポジションは高校時代のWSから、チーム事情と自らが生きる道を考えて、県中学選抜で経験があったMBに転向。最初は「あまり好きじゃなかった」が、練習してきたことが通用するようになりだして「楽しい」と思えるようになった。3年時にはユニバーシアードやアジアU23選手権で日本代表入り。ここでのスタメン争いも大きな刺激になっている。
 迎える大学最後のシーズン。目標は「自分をどれだけ犠牲にして仲間を生かせるか」。1本でも多くスパイクを決めてWSを楽にする、ブロックを引っ掛けて攻撃を展開しやすくする。チームの日本一のために、それをやり続けることが将来につながっていく。
 今の自分があるのは「長崎バレーのおかげ」だと思う。身長が高くても、レシーブをはじめとする基本技能、つなぐ意識の大切さなど、すべてを身につけてもらった。年に1度、長崎県代表の一員として地元に戻れる国体は、毎年の楽しみでもある。
 そんな古里への感謝を伝えるには、自らの活躍が一番。「中学時代を超えるような報告が、なかなかできずにいるのがもどかしいところ」。今年こそ、いい報告がしたい。過去の自分を超えて。

 【略歴】うめもと・りんたろう 大塚小2年からバレーボールを始め、吾妻中3年時に全国都道府県対抗中学大会で県選抜チームの主将として準優勝に貢献。JOC・JVAカップ(最優秀選手賞)を獲得した。鎮西学院高時代は2年連続で日本高校選抜入り。中大に進み、3年でユニバーシアード5位、アジアU23選手権3位メンバーとなった。実家は雲仙市で酪農を営む。193センチ、80キロ。

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