レース延期や中止でF1は収益減。ハースF1代表が2021年導入の予算上限を低める提案

 世界中で猛威を振るう新型コロナウイルスの影響により、レースが延期や中止となっているため、各チームの収益は減っている。これについて、ハースのチーム代表を務めるギュンター・シュタイナーは、F1に参戦する全10チームが2021年のグリッドに並べるようにするためにも、2021年から導入される予算制限の額をさらに低くする必要があると考えている。

 F1がシーズンの中断を余儀なくされていることで、商業権保有者のリバティ・メディアには、危機のなかでも各チームをまとめ上げる能力があるかどうかの究極のテストが示されたことになる。

 チームは大きな収益不足に直面しており、F1の小規模チームの将来は危機に瀕している。しかし誰もが問題と見るところに、シュタイナーはF1にとってのチャンスを見出している。

「存在の問題が生じている。だが問題は常に前向きに対処されるべきだと考えている」とシュタイナーは『Auto Motor und Sport』に語った。

「一方で問題は新たな機会を作り出すものだ。我々がともに取り組み、10チームすべてが一丸となれば、この状況からさらに良い状態で抜け出せるかもしれない。F1のためにも、そして我々のスタッフ全員のためにもだ」

 だがシュタイナーは、まさにどのようにしてF1が現在の混乱をよりうまく切り抜けることができると考えているのだろうか? その疑問についてのシュタイナーの答えは、論理的には資金と来年の1億7500万ドル(約190億円)の予算上限にある。シュタイナーはこの上限を低める必要があると主張する。

「どこで資金を節約できるのか見つけるのだ」

「変えることのできない状況がある。したがって我々は現実的に対処しなければならない。収益は減るが、全チームがF1に残りたいのだ」

「予算縮小について合意するべきだ。そうすることで将来F1がより面白くなり、競争力が近づくことになる」

「否定的な見方をするべきではない。肯定的に見るべきだ。優先的な目標は、私が考えるに、10チームすべてが来年のメルボルンのグリッドに並ぶことだ」

■シーズン開幕後は2日間で開催の可能性も

 レースの延期や中止が続いており、この危機の終わりが明確に見えないなかで、シュタイナーはチームが被っている被害の大きさを見積もるのは難しいと語った。

「まだ損害を評価することはできない。なぜなら今年の後半に我々がどうするか正確には分からないからだ」

「安全なスタートをいつどこで切ることになるのか分からない。我々は状況をコントロールできていないが、それは我々によって決まることではない。数レースが中止になっても、スポンサーは理解してくれると思う」

 F1がふたたび動き始めることになった場合、延期になっている数レースをスケジュールに戻すには、必然的にこれまでのレースウイークの形式を変えることになるだろう。

「我々は、特定のレースを3日間の代わりに2日間のイベントに変えようと取り組んでいる」

「そうしたことすべてについて作業が進行している。未解決の問題はたくさんあるが、何が可能で何がそうではないかということについて、舞台裏では多くの助言が得られている」

「確かに2つか3つの新しい形式ができることになるだろう。そうせざるを得ないからだ。次にはそれが吉と出るか凶とでるか確認する機会が与えられる」

「これから、我々は生き残るためにいくつかのことをしなければならない」

ハースF1チームのギュンター・シュタイナー代表

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