鍋にもお肉にも洋食にも合う福井の万能薬味『山うに』って何!?

福井県鯖江市の山間にある集落、河和田(かわだ)地区。この場所では、古くから伝わる不思議な名前の食べ物があるんです。それが『山うに』。

和食にも洋食にも合うという山うにとは一体何なのでしょうか!
作り方も教わったので、ご紹介します。

鯖江市河和田地区に伝わる『山うに』とは

山うにというのは、河和田で昔から親しまれてきた伝統の薬味。
柚子、福耳とうがらし(赤ナンバ)、鷹の爪、塩で作られているものです。
柚子胡椒の赤唐辛子バージョンという感じですね!

どうして『うに』なの!?と思うかもしれませんが、見た目がうにっぽくないですか?

さらに、福井には『塩うに』という特産品があります。
塩漬けのウニを練り上げた加工品で、なんと日本三大珍味の一つ。

右が塩うに

塩うにと見た目がよく似ているから『山うに』と呼ぶ、とも言われています。

さらにさらに、

むかしは行商人が来て、魚介類と山の物を交換していた。海側の人が塩ウニを持ってきて「ほら、海にはこんなにおいしいものがある」って持ってきたものに対抗して、山のおいしいもの「山うに」をつくった

なんて説もあります。

昔は、冬に取れた柚子をお母さんが山うににしていたそうです。
保存がきくようにたくさん塩を入れていたため、今よりかなりしょっぱかったそうですが…。

しかし、今では河和田地区でも山うにを知らない若い人が増えているそう。
そこで、うるしの里いきいき協議会のメンバー、料理研究家などによって特産化しようというプロジェクトも行われています。

山うに作りを体験してみた!

実は筆者も山うにが大好き!
せっかくなので、地元の方にお願いして山うに作り体験をさせてもらいました。

今回お世話になったのは、『越前隊』の皆さん。

河和田生まれの地元男性3人が、「河和田を良くしたい、河和田に多くの人に来て欲しい」という想いで結成した越前隊。

現在は山うにで河和田を盛り上げるべく、山うにたこ焼きや山うにアイス、ソフトクリームなど、積極的に商品開発を行っています。

越前隊の方のご指導のもと、山うにつくりにチャレンジ!

まずは柚子の種以外をフードプロセッサー(またはすりこぎ)でペースト状にします。

次に赤なんばの処理。赤なんばはパプリカのような味で、山うにの赤い色を出すのに重要な食材です。

これを、頭とお尻を切ってから縦に切って種を取ります。
赤なんばの種が残っていると腐りやすくなるので、念入りに…。

こちらもフードプロセッサーでペースト状にすれば準備完了。

山うにはそれぞれの家庭、お店、団体で配合が異なり、風味も全く違います。

辛さが強いものもあれば、ゆずの風味が強いものもあり、本当にさまざま。

越前隊が普段作っている山うにの配合は企業秘密!とのことだったので、私も完全オリジナル配合で作ってみました。

辛いのが苦手なので、ゆずと赤なんばをちょっと多めに…。

配合を決めたらあとは下処理をした材料をひたすらすり鉢とすりこぎですりつぶすだけ!

…だけ。

なんですが、プロの仕事はここからがすごい!

この作業、私は5分くらいで終わりにしてしまいましたが、普段販売している商品は40分から1時間も時間をかけるそうです。

そうすることで柚子のエグみがなくなり、舌触りがよくなるんだとか。

5分間ゴリゴリしただけでも十分かな?という仕上がりだったし、何よりとっても疲れる!
にも関わらず、その何倍もの時間をかけて作っているとは、驚きです。

確かに自分で作ったのを食べてみると、ちょっと粗さがあるかな?と感じました。

山うには鍋にもお肉にも洋食にも合う!

さてこの山うに、どうやって食べればいいのでしょうか?
山うには超優秀な薬味なので、何に合わせてもOK!

お鍋、冷奴、焼き鳥などにはもちろん、パスタやスイーツと合わせたりしているお店もあります。

鯖江市内には、山うにを食事と共に提供してくれる飲食店や、山うにを使った商品を販売しているお店がいくつかあります。

こんなところで山うに!?というくらい不意打ちで出てくることもあるので、山うに探しの食べ歩きも楽しいかも。

こちらの記事でそれらのお店を詳しく紹介しています!

一度食べたらハマること間違いなし!
ぜひ試してみてください。

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