軍艦島30号棟 一部崩落 国内最古の鉄筋アパート

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建物中央部の上部が崩落した国内最古の鉄筋コンクリート造アパート「30号棟」=長崎市、端島

 世界文化遺産「明治日本の産業革命遺産」の構成資産に含まれる長崎市の「端島炭坑」(軍艦島)で、国内最古の鉄筋コンクリート造アパート「30号棟」の一部が崩落したことが30日、分かった。軍艦島を代表する建築物だけに、関係者は衝撃を受けている。
 30号棟は1916(大正5)年建築で7階建て。当時の最先端の技術で建設されており、価値を高く評価する専門家は多いが、近年は劣化が急速に進行し、倒壊が心配されている。
 崩落が確認されたのは27日。市世界遺産室によると、26日夜の強風が原因とみられる。建物中央部の5階から屋上にかけての梁(はり)や外壁、床が大きく崩れ落ち、内部が見えている。
 市は軍艦島について護岸や炭鉱施設を優先して保存する方針。劣化が著しい30号棟は「保存が困難」として補修の対象にしていない。市は倒壊の危険性を把握するセンサーを設置しており「まだ全体が崩壊する状況には至っていない」とみている。
 軍艦島には30日、多くの観光客が上陸し、一部が崩れ落ちた30号棟を見て驚きの声を上げた。上陸クルーズを運航する軍艦島コンシェルジュ(長崎市)のスタッフは「ここまで大きく壊れているとはショック」と言葉を失った。
 長崎大名誉教授の後藤惠之輔氏は30号棟を保存するため、世界の技術者からアイデアを募る国際コンペの開催を提案していた。「心配が現実になり残念だ。保存に向け、あきらめずに手を打つべきだ」と話した。