計画に「桁下空間を確保」明記も・・・「船舶運航に支障」

観光船が通航できない事態となっている建設中の「女神橋」=横浜・みなとみらい21地区

 横浜・みなとみらい21(MM21)地区の運河に横浜市が建設中の歩行者デッキ「女神橋」が低く架設され、船舶が通航できなくなっている問題で、市が策定した横浜港港湾計画で同橋について「現状の利用に支障のないよう桁下空間を確保する」と明記していたことが30日、分かった。実際には観光船が通れない事態となっており、市は「船舶の運航に支障が生じていると認めざるを得ない」としている。

 市などによると、同計画は、港湾法に基づき設置された市長の諮問機関・市港湾審議会で了承され、2018年に策定された。女神橋を建設する水域については「観光船や屋形船などの船舶の航路として利用されている」と指摘。その上で「港湾を利用する船舶の航行に支障がないよう、橋梁(きょうりょう)の桁下空間を次のとおり計画する」として、女神橋の満潮時の水面からの桁下高を3.5メートルとした。

 市は約100メートル上流に架かる「国際橋」の橋桁に記された「桁下高3.5メートル」を基準にしたが、船舶が航行時に通る国際橋の中央部の実際の桁下高は約4.2メートルだった。この際、市は国際橋を実測しなかった。

 市は港湾計画の策定に当たり、観光船の運航会社と協議。同社によると、会社側は船が通れる約4.2メートルであることを念頭に「国際橋と同じ高さでお願いしたい」と伝えた。

 しかし、市は国際橋に記載された桁下高で会社側から了解を得たと判断。その結果、女神橋は国際橋に記載された桁下高3.5メートルで設計され、国際橋に比べて実際には約60センチ低くなった。

 市港湾局の成田公誠政策調整課長は「市としては設計通りに架設し、問題はないと考えている」とした上で「協議時に市と会社側双方の理解が十分でないところがあった」と釈明。市は対応策を検討している。

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