ドラフト直後の“採点”は当たるのか? “当たり年”は広島と西武、2013年を検証

広島・大瀬良大地(左)と西武・山川穂高【写真:荒川祐史】

広島には大瀬良や田中、西武には森と山川が入団

 今季も数多くのルーキーたちがプロの世界に飛び込んできた。ただ、ルーキーたちは誰しもが入団して即、活躍するわけではない。身体作りに励み、3年、5年が経ってからようやく花開く選手たちも多くいる。ドラフトの真の成果は、ある程度の年数が経ってから分かるものだ。

 では、かつてのドラフト会議で指名された選手たちは、一体どういった結果を残しているのか? 当時のドラフト直後の12球団の指名評価を振り返り、現在、その年々の指名選手たちがどうなったのか、検証してみよう。

 今回は今から7年前の2013年ドラフトを見ていきたい。この年の目玉は森友哉、松井裕樹の高校生2人、大瀬良大地、吉田一将、石川歩ら。ただ、藤浪晋太郎や大谷翔平らが目玉だった前年と比べると、年度全体として“不作”と評されていた。

 1巡目では松井裕樹に最多の5球団、大瀬良に3球団、石川に2球団が競合。外れ1位で柿田裕太に3球団、杉浦稔大に2球団、そして外れ外れ1位で岩貞祐太に2球団が入札した。松井は楽天、大瀬良は広島、石川はロッテ、柿田はDeNA、杉浦はヤクルト、岩貞は阪神がそれぞれ交渉権を獲得。オリックスは吉田、西武は森を一本釣りした。

 この年のドラフトで12球団のうち、最も評価が高かったのはオリックスと楽天だった。オリックスは吉田を一本釣りし、2位の東明も即戦力として期待された。吉田は1軍で主に中継ぎとして活躍し、東明は2年目に2桁10勝をマーク。3位の若月は正捕手となっている。ただ、期待値からすれば、物足りないか。

 松井を5球団競合の末に引き当てた楽天。松井は前評判に違わぬ活躍を見せて2年目から守護神として大活躍した。2015年から3年連続30セーブ超え。最年少100セーブも達成し、昨季は最多セーブのタイトルを獲得した。ただ、2位以下はやや厳しい結果か。2位の内田は大砲候補として期待されているが、ここからの覚醒はあるか。

ソフトバンクは低評価だったが、森や上林が入団している

 この2球団と並び高評価だったのが、3球団競合で大瀬良を引き当てた広島。この年は“当たり年”だった。大瀬良は球界を代表する右腕となり、2位の九里も2桁勝利こそないが、2017年に9勝、2018年と2019年に8勝をマークし、先発と中継ぎ双方で起用されてきた。田中も昨季は苦しんだが、リードオフマンに成長した。

 広島同様にロッテと西武も“当たり年”だった。ロッテは石川がチームの柱となり、5位の井上晴哉が4番に、6位の二木もローテの一角を担う投手となった。西武は1位で森、2位で山川穂高が入団。球界を代表する強打者2人が同期で入団しており、この年のドラフトで12球団で最も大きな成果が出ていると言えるかもしれない。

 一方、総じて評価が低かったのが中日、ソフトバンク、日本ハムあたり。中日は松井を外して鈴木翔太を1位で指名。鈴木はここまで通算5勝と苦しんでいるが、2位の又吉、5位の祖父江が中継ぎとして活躍している。1位で渡邉諒を指名した日本ハムは2位の浦野博司や8位の石川亮も1軍の戦力となっているが、活躍度としてはやや厳しいか。

 ソフトバンクは12球団で最も少ない4人だけの指名で、松井、杉浦と外して1位では加治屋蓮を指名した。加治屋は2018年にセットアッパーとして活躍し、72試合に登板。2位の森唯斗は入団から6年連続で50試合以上に登板し、今では守護神となっている。4位の上林も1軍の戦力となっており、ドラフト直後の低評価を覆す年となっている。

 巨人は石川を外して小林誠司が1位。3位の田口も中継ぎを担う1人となったが、2位の和田恋、4位の奥村展征、5位の平良拳太郎は移籍している。ヤクルトは外れ1位で杉浦を指名したが、怪我に悩まされて活躍できずに日本ハムへトレードに。3位の秋吉はリリーフとして活躍したが、こちらも日本ハムへとトレードで移籍した。

 DeNAは1位の柿田が1軍登板のないまま、2017年オフにこの年のドラ1でただ1人の戦力外に。4位の三上朋也、育成1巡目の砂田毅樹が中継ぎとして活躍している。大瀬良、柿田を外した阪神は1位で指名した岩貞祐太が2016年に10勝をマーク。4位の梅野隆太郎は正捕手になり、6位の岩崎優も2017年、2018年に60試合超に登板。上々のドラフトとなっている。

 2013年のドラフト組は2020年がプロ7年目。高卒世代では25歳になる。遅咲きの選手といえど、そろそろ台頭しておきたいところ。ここから大きく花開かせる選手は出てくるだろうか。(Full-Count編集部)

© 株式会社Creative2