永田町は「視界不良」?衆院選の時期はいつ?新型コロナウイルス感染拡大で…

国会は、一般会計総額が過去最大の102兆6580億円の2020年度予算が3月27日に成立しました。

衆参両院での審議が進む中、国内でも新型コロナウイルスの感染が拡大し、3月8日に予定されていた自民党大会が延期となったのをはじめ、春の選抜高校野球の中止、大相撲春場所の無観客開催、皇室行事の変更などが次々と決められました。

そして、今年7月から予定されていた東京オリンピック・パラリンピックも1年間の延期が決定されました。

新型コロナウイルス対策、オリ・パラ延期は、来年9月に自民党総裁としての任期を迎える安倍晋三首相及び与党の解散戦略に大きな影響を与えています。

現在の衆議院議員の任期は21年10月21日です。衆議院選挙については、「常在戦場」=いついかなる時に選挙があっても対応できるように常に政治活動を行っていくことが必要=という故・金丸信 自民党副総裁の言葉に代表されます。

今年は、年明けから与野党とも「オリ・パラ後、アメリカ大統領選の結果を踏まえた年内選挙」(自民党幹部)を想定していただけに、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けてのオリ・パラ延期は「衆議院選挙の時期を根本から考え直さなければならない」(野党幹部)状況となっています。

さらに、3月下旬以降、東京での感染拡大を受け、小池都知事が「都市封鎖」を視野に入れた対策強化を打ち出し始めました。

現状で衆議院議員選挙の時期を考えることを難しいのですが、以下、考えられる想定を列挙していきます。

【想定 1】 7月5日(日)の都知事選挙と同時期

6月18日(木)告示・7月5日(日)投開票で都知事選が行われます。

「仮に」7月5日(日)に衆議院選挙を行う場合、6月23日(火)が公示日となるため、それ以前となる、5月下旬から6月上旬までに衆議院が解散されていなければなりません。今国会の会期は6月17日(水)です。新型コロナウイルス対策、いわんや、この時期に収束しているかどうかわかりません。

「仮に」7月5日(日)の「衆・都同日選」となった場合、1000万人の有権者を抱える東京都の開票作業がどうなるのでしょうか?

「衆議院選挙区票」→「比例票」→「都知事選票」そして「都議会議員はじめ地域議員の補欠選挙票」と開票が続き、5日(日)夜から6日(月)昼前まで続くことになると思われます。開票にあたる職員の健康にも大きく影響します。また、新型コロナウイルスが、仮に収束していても、これだけの作業は労務上も大きな問題となります。

衆議院選挙を1週ずらして行っても「選挙に予算をかけるならば、コロナ対策に回せ」と批判されることは現下状況を考えれば明白です。都知事選との「同日もしくは1週ずらす同時期」選挙は現実的な選択とは思えません。

【想定 2】今年11月末~12月

この想定はある程度、「新型コロナウイルスの感染拡大が収束」し、対策として大型かつ複数回の補正予算を編成することを前提とします。

9月に任期を迎える自民党幹部らの人事、内閣改造で選挙を意識した布陣を敷くかどうかが注目されます。また、立憲民主党も枝野代表が 9月に任期を迎えるため、衆議院選挙に向けどのような体制を構築するのかもポイントとなります。

11月1日予定の大阪「都」構想をめぐる住民投票、11月3 ~ 4日に判明するアメリカ大統領選の結果を見た上で、この時期に選挙を行うかどうかが注目されます。
秋に臨時国会を召集し、追加の経済対策(補正予算)の編成、さらに「消費税の一定期間の減税を決断」した上で解散し、11月24日(火・先勝)公示→12月6日(日・先勝)もしくは、12月1日(火・友引)公示→13日(日・友引)という選択肢もあると思います。

 

【想定 3】21年年初~通常国会冒頭解散

21年度予算案審議の日程に影響する他、政府・与党とすれば、予算を成立させてから選挙を行う方が有利ですから、この時期の選挙の可能性は低いと思われます。

【想定 4】21年4月~7月

21年度予算が成立後の時期となりますが、延期となったオリンピックが 7月23日開幕なので、その前に衆議院選挙を行う可能性も低いと思われます。

また、都議会議員が7月22日に任期満了を迎え、オリ・パラ時期と重なります。任期満了を前提に、「投開票を日曜日に設定」して都議選日程を考えますと、以下の4通りとなります。

 A案 6月18日(金・先勝)告示  →27日(日・仏滅)
 B案 6月25日(金・友引)告示  →7月4日(日・大安)
 C案 7月2日(金・先負)告示    →11日(日・先勝)
 D案 7月9日(金・仏滅)告示    →7月18日(日・友引)

オリンピックの開幕が7月23日(金)と当面決まったことから、7月に入ってからの都議選は考えづらく、都知事選の日程と同様にオリンピックの開幕となるべく時期を離すとなりますと、A案の6月18日(金・先勝)告示→27日(日・仏滅)の日程で、都議選が行われる可能性が高いと思われます。

しかし、オリンピック開幕直前の時期に併せての衆議院選挙もメリットが少ないように思われます。

【想定 5】21年夏~21年10月21日の任期満了

自民党党則第八十条四項において「総裁は、引き続き三期を超えて在任することはできない」と規定されています。12年9月に自民党総裁に就任した安倍氏は現在三期目で、その任期は「21年9月30日」です。また、現在の衆議院議員の任期は10月21日までです。

この場合、「安倍氏が総裁任期に合わせて、オリ・パラを花道に引退」して、後継総裁によって衆議院選挙が行われるのか?また、安倍氏がオリ・パラ開催の高揚感をもってして、解散にうって出て、勝利を狙い、総裁の「一定期間の任期延長」を目指すのか?という2つの選択肢があると思われます。

前者の場合、後継総裁には選挙勝利の相当のプレッシャーがかかりますし、後者の場合もかなりの大勝=大幅な議席確保を勝ち取ることが必要です。

今回の新型コロナウイルスの感染拡大のように予期せぬ事態が起こる可能性もあり、衆議院の解散時期を延ばしていくことが、必ずしも与党に有利な状況になるとは限りません。

前回17年衆議院選挙の際、安倍首相は「国難危機突破」という理由で選挙を行いました。現状は「国民生活危機」に他ならず、感染拡大阻止に一定の目途が立った時点で、国民の審判を仰がないと整合性がとれなくなります。

また、森友問題の文書改竄についても、自殺された財務省職員の遺書が公開され再調査を求める世論は高まりを見せています。

「いつ」「どのような大義」で解散・総選挙が行われるのか?今、永田町は「視界不良」(野党幹部)に陥っています。

 

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