新型コロナ対応で入国拒否措置~あまりにも遅く弱い日本の対応

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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(3月31日放送)にジャーナリストの有本香が出演。日本政府による欧米中韓などからの入国制限措置について解説した。

閑散とする羽田空港国際線の出発ロビー=2020年3月28日午後、東京都大田区 写真提供:産経新聞社

米中韓ヨーロッパほぼ全域からの入国を拒否へ

政府はアメリカや中国、韓国の全土、更にイギリスを含むヨーロッパのほぼ全域に対する感染症危険情報を、渡航中止を勧告する「レベル3」に引き上げると共に、これらの地域からの外国人の入国を拒否する方針を固めた。入国拒否の措置を取ると、14日以内にその国の滞在歴がある外国人は原則、日本に入ることができなくなる。

飯田)同様の措置をタイなどの東南アジアでも行う方針で、特段の理由がない限りは世界のおよそ3分の1の国や地域から、外国人が日本に入国できなくなるということです。

有本)私に言わせれば、遅過ぎる。いまごろかという感じですね。ちょうど3月初旬に、一応は中国と韓国から事実上の入国制限、入ってから行動制限をするということだったので、ほぼ入っていないと政府は言っていたわけです。しかし入国を拒否していないということは、国としてその意思を示していないということです。また3月初旬から、ヨーロッパが大変だということになったわけですよね。しかし一切その制限をせず、30日に神奈川県で発症した方は、ヨーロッパへ3月に入ってから里帰りされて戻って来た人です。こういう状況を見ると、この問題をこの番組で最初に論じたのは1月中旬だったと思います。まだほとんどメディアで騒がれていないころに、これはひょっとすると大変なことになってしまうかも知れませんよと。ここで対応をしくじってしまうと政権はもちろんのこと、日本は大変なことになるのではないかという問題提起をしました。それ以来、ずっと私は入国制限、国によっては入国を全面的に拒否すべきだと言って来たのですが、残念ながら2ヵ月以上遅いという感想ですよね。

飯田)アメリカやヨーロッパからというのも1ヵ月遅いし、中韓に関しては1月から。あのときは春節で、たくさんの人が来るから危ないぞということでした。

「春節」の大型連休が始まり、帰省客らでにぎわう中国・北京駅。新型コロナウイルスによる肺炎の発症者が各地に広がる中で、大部分の人がマスクを着用していた=2020年1月24日 写真提供:産経新聞社

「要請」だけという日本の対応の弱さ

有本)そういう警告を発していたのですがね。「春節はもうそうなってしまったから仕方ない」とか、「それ以前からすでに入っていたので仕方ない」とか、そういう問題ではないのですよ。入って来る人を制限することには意味がないと、未だに言う人がいるのですが、だったらいまだって止める必要はないので大反対してくださいという話でしかありません。いまもう1つの問題として考えなければいけないのは、30日の東京都の記者会見とも関係するのですが、31日の日経新聞にレベル3の対応をすると載っていて、つまり渡航を中止しろということですよね。そういう地域からは人も来てくれるなということで考えられるわけですが、レベル3にしたために、各企業は駐在員の帰国対応を急いでいるでしょう。でも、感染している可能性があるのは現地の人だけでなく、向こうに住んでいる日本人の方が持って来るケースも多いです。現に学生がヨーロッパを旅行して、帰って来たら感染していたというケースもあります。その場合、日本は帰国した方に関して、自宅にいてくださいと「要請」するという弱い対応しか取れないのです。でも、もう1歩ここは踏み込んで、例えば空港から移動してご自宅まで帰らなければならない、あるいは自宅では難しいという場合です。

【都心で降雪】雪が降った大手町近辺は、昼間にも関わらず静まり返っていた=2020年3月29日午前、東京都千代田区 写真提供:産経新聞社

帰国者をオリンピック選手村などに収容するべき

飯田)同居者がいて不安だという方も、もちろんいらっしゃいますね。

有本)30日の会見でも触れていましたが、そういう人たちにオリンピックの選手村、あるいはお客さんがいなくなっている宿泊機関を東京都が借り上げて、帰国者を中心にそこへ入ってもらう。そういうことをやって行く必要があるのではないでしょうか。

飯田)都道府県によって対応がまちまちですが、東京都に関してはPCR検査で陽性が出た人は入院と。これは指定感染症になっているからですね。しかし、それでどんどん入院させると病床がパンクしてしまいます。

有本)病床はいつパンクしてもおかしくない状況です。それを防ぐために、軽症の人から移ってもらうことになるわけですが、もう1つは外から入って来る感染の可能性が高い人たちですよね。

新型コロナウイルス感染拡大、都市封鎖=2020(令和2)年3月22日、フランス・パリ・オペラ通り(ロイター=共同) 写真提供:共同通信社

日本と比較した諸外国の対応

飯田)台湾などは空港についた人で切り分けをして、宿泊施設などの斡旋を行っていると言います。移動などもすべてやっていると。

有本)別動線を確保して、とっくにやっています。台湾は経済的なマイナスも十分に覚悟して、かなり早い段階で対象国の入国拒否をしています。聞いたところでは、香港は入国した際にGPSをつけられるようです。GPSを仮に外そうとした場合は、すぐに警察が飛んで来るとのことです。

飯田)警報が鳴って、ここにいるぞと。

有本)そういったことを各国でやっているのですが、日本はなかなか強い対応が取れないところが、今後新たな感染を防いで行くという点でどうなのか。

飯田)ここ2~3週間で海外から帰って来た人に話を聞いたのですが、入り口のところで検疫に時間がかかると。そこで人が並んでしまって、これがクラスターになるのではないかと心配されていました。

有本)クラスターになる要素として、一部は満たしていますよね。

飯田)換気が少なかったり、近くにいる。激しく会話はしていませんが。

有本)満員電車でもクラスターが起きていないことを考えると、そこは辛うじて大丈夫なのかなということです。少なくとも1月20日の時点で、アメリカや台湾は中国から帰って来た人に関しては、検疫もすべて別動線にしていたのですよ。

飯田)機内に留まって検温するところから始めていましたね。

有本)ですから、ここに関しても日本の対応があまりにも遅いのと、特にヨーロッパからの帰国者に対しては、つい最近までほとんど普通の検疫対応だったというではないですか。並ばされるのはいいけれど、症状が出ていなくて、自己申告しなければそのままでいいということになっています。それらも含めて、入って来るものはとりあえず…。

飯田)国内で自粛して減らそうとしても、外から新たに入って来てしまっては。

有本)我々が自宅にいるというのは、仮に世界で行われているロックダウンに近い状態になったとしても、食料品を買いに行くのは構わないということではないですか。でも、例えばシンガポールなどは帰国して自宅待機が必要な人に関しては、早い時期に対応していたのをリー・シェンロン首相が説明していましたけれども、食料を届けるボランティアスタッフを専用に置いていたのですよね。そういう対応を含めて、もっと機能的なことを瀬戸際になってやらなければいけない東京都も大変ですが、帰国者対応はしくじると大変なことになるかもしれません。

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