フィギュアスケートの河辺愛菜(関大KFSC)は昨年11月の全日本ジュニア選手権で初優勝し一躍脚光を浴びた。国内女子でも跳べる選手が少ない大技トリプルアクセル(3回転半ジャンプ)を武器に、2022年の北京冬季五輪を視野に入れて、さらなる高みを目指す。15歳のニューヒロインが今春の高校進学を前に意気込みを語った。(聞き手、共同通信=徳永早紀)
―春からは高校生。目標は。
「4回転ジャンプを跳びたい。最近ちょっと練習している。ロシアの選手は入れて当たり前。自分も1種類は跳べるようになりたい。早く跳べる様になって演技に入れたい」
-4回転ジャンプで感触がいいのは。
「トーループの方が好きだけど、サルコーの方が回っている感じがする。『こうしたらもっと回れる』とかは、ちょっとずつ分かってきた」
―演技に入れるのはいつ。
「来シーズンはまだ。アクセルでちゃんと安定した演技ができるようにしていきたい」
―19~20年シーズンで得たものは。シニア選手と同じ試合に出場する機会があった。
「(演技に)スピードがないと感じた。ちゃんとついていけるよう、ジャンプ以外の所も直していきたい」
―北京五輪の時は17歳。代表になりたいか。
「(20年1月に15~18歳が対象の冬季)ユース五輪も出させてもらったので、ちゃんと(北京五輪代表に)選ばれたい」
―切り札のトリプルアクセル。初めて成功したのは。
「去年の6月に(練習拠点の)関西大学アイスアリーナで。自分の中でも良い感触があって、何回かやったらできた。いつもよりふわって浮いた感じがした。『やっと跳べたな』と思った」
―他の選手は参考にしたか。
「紀平梨花(関大KFSC)ちゃんや浅田真央ちゃんの動画は見ていた。跳ぶときに梨花ちゃんのアクセルをイメージしている時はある」
―紀平選手のトリプルアクセルはどこが良いと感じるか。
「高さだけじゃなくて幅もある。(ジャンプで)踏み上がる瞬間に、右足を振り上げる速さがある」
―恐怖心は感じないか。
「最初はずっと怖かった。アクセルジャンプは壁に向かって勢いを付けて跳ぶので、軸が外れたら変な方向に跳んじゃうから、今でも怖い時がある。(19年12月の)全日本選手権のSP(ショートプラグラム)でこけちゃった。緊張してスピードがなかった。転んで打ったところは予想していなかったから痛かった」
―5歳でスケートを始めた。覚えていることは。
「テレビで(浅田)真央ちゃんの演技を見たのはちょっと覚えている。トリプルアクセルを決めてノーミスだった。自分は(浅田のプログラムでは)仮面舞踏会が好き」
―18年4月に地元の名古屋を離れ、大阪に移った。
「ジャンプがあんまり調子上がらなくて、練習でできても試合でできなかった。大阪に来た方が上達できるかなって。試合で良い結果を出したいという思いが強かった」
―母と弟も一緒に引っ越した。家族を背負っているという思いもあるか。
「『ちゃんと結果を出さないといけない』というのはある」
―紀平選手と同じ浜田美栄コーチに師事している。
「大阪に来た時はループがすごく苦手で跳べなかったけど、先生に教わるようになってからすぐ跳べた。手の使い方や首の動きとか、細かいところまで注意してくれるし、その通りにやったらジャンプが跳べる。教えるのがうまい先生だと思う」
―技術要素では何が好きか。
「ジャンプが一番好き。種類がいっぱいあって、やっていて楽しい」
―フィギュアスケートは、スポーツと芸術の融合の競技。どちらに重点を置いているか。
「難しいジャンプを跳べないと上位にはいけない。(ただ)ジャンプも跳べるけど、ちゃんと表現もできるようになりたい」
―表現面で参考にしている選手は。
「宮原知子(関大)ちゃん。体を大きく使っていて、指先から全部きれい。ああいう風に滑りたい」
―自分はどんな滑り方、性格だと思うか。
「大ざっぱ。フリーレッグ(氷に乗っていない方の足)が汚かったり、手の使い方が雑になったりして、結構怒られる」
―注目されるのはプレッシャーか。
「注目してもらえるのはうれしい。見てもらえた方が、ジャンプが跳べる」