船が通れぬ低い橋、かさ上げへ 横浜市が工事追加発注 開通時期大幅に遅れる見通し

かさ上げ工事が始まった「女神橋」=31日、横浜・みなとみらい21地区

 横浜・みなとみらい21(MM21)地区の運河に横浜市が建設中の歩行者デッキ「女神橋」が低く架設され、船舶が通航できなくなっている問題で、市が橋のかさ上げ工事を追加発注したことが31日分かった。市は橋の計画自体に問題はなかったとの立場をとっており、「将来の観光の発展に向けて対応を図った」と説明。追加工事の費用は不明といい、開通時期は当初の7月から大幅に遅れる見通しだ。

 市によると、女神橋のかさ上げ工事は30日から4月上旬にかけて、ジャッキアップで全体を約60センチ高くする。同橋は満潮時の水面からの桁下高約3.5メートルの計画で架設されており、かさ上げ後は約100メートル上流に架かる「国際橋」の中央部の桁下高約4.2メートルと同じ高さとなり、船舶が通航できる予定だ。

 市は、基準とした国際橋の桁下高を実測しないまま発注し、従来は通航していた観光船などが通れない事態が生じている。市港湾局の成田公誠政策調整課長は「計画時の調査や設計は、その時点でできることをしたので問題ない」とした上で、かさ上げについては「(横浜港の)内水面はMM21地区の観光にとって非常に重要。観光船や屋形船などでにぎわいが高まる中、(船舶が通航できないことで)将来に向けて可能性をなくすのはわれわれとしては本意ではない」と釈明した。追加発注は局内の会議を経て中野裕也局長が判断したという。

 当初計画での事業費は4億円で、国費と市債それぞれ1億7500万円、市の一般財源から5千万円を投じる予定だったが、追加工事を含めた総事業費について市は「算定できない」としている。

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